交付金見直しへ英知を期待
民主党代表選で菅直人氏が再選され、菅改造内閣が発足した。
14日午後都内のホテルで行われた代表選は、国会議員票、地方議員票、党員・サポーター票を合わせた総ポイント数で菅氏が721ポイント、小沢氏が491ポイントとなり、大差で菅首相が再選された。
とくに、党員・サポーター票のポイント数は菅氏249ポイントに対し、小沢氏51ポイントと大きな差がついた。全国300小選挙区ごとに得票の多かった方が1ポイントを得る仕組みであるためだ。
有権者数34万2493票という党員・サポーター投票で小沢氏が全県をおさえたのは自らの地元・岩手のほか、富山、石川、沖縄の4県にとどまったが、総得票数でみると菅氏13万7998票に対し小沢氏9万194票で、地方議員票と同様の6対4の割合だ。国会議員票では菅氏206票、小沢氏200票とほぼ拮抗していたことを考えると、今後も小沢氏陣営が党内で一定の影響力を持ち続けることになるとみられる。
一方、17日には菅改造内閣が発足し、トラック運送事業を中心とする物流産業を所管する国土交通相には、副国交相だった馬淵澄夫氏が昇格した。前原国交相は、党幹事長に就任した岡田克也氏の後任として外相に就いた。
サプライズ人事は、総務相への片山善博氏の起用だ。鳥取県知事時代は「改革派知事」として知られた論客で、民主党政権では初の民間からの登用となる。
旧自治省出身で、軽油引取税などを所管する府県税課長も務めた片山氏は、トラック・バス両業界への補助金である、運輸事業振興助成交付金制度に批判的であることでも知られる。
今年5月の行政刷新会議でも、交付金が総務省の副大臣通達に基づき各都道府県に支出を求めている点を取り上げ、「通達で自治体に対して金の使い道を指示するということはやってはいけない。ぜひ解除されるべきだ。そうでないと地域主権改革などと言っていても何の意味もない」などと発言している。
その交付金制度を巡っては、民主党トラック議員連盟がワーキンググループを設けて10月以降勉強会を開いていく予定だという。15日に開かれた党政調の国土交通部門会議でも、業界が求める交付金の法制化を巡り議論があった。
交付金制度は、今年5月の事業仕分けでも透明性を確保せよと指摘されている。この際、透明性を高めて確固たる制度へと見直す良い機会ではないか。関係者の英知に期待したい。
(日本流通新聞2010年9月20日付)