目離せぬ税制改正審議

国土交通省が来年度税制改正で、地球温暖化対策税の導入を前提に、営業用トラックが使う軽油について減免措置を創設するよう、政府税調に要望した。
 営業用トラックのCO2排出量は自家用トラックの7分の1であり、自家用トラックから営業用トラックに転換を促進するとともに、厳しい経営環境に置かれている営業用トラックの安定した輸送力の確保と輸送コスト抑制を図ることが減免措置の狙いだ。つまり、軽油にかかる温暖化対策税(地方環境税)について、税率に営自格差を設けるよう求めたものだ。
 国交省がこうした要望を行った背景には、今年5月の行政刷新会議による事業仕分けの際の議論がある。5月の事業仕分け第2弾では、全日本トラック協会が行う都道府県トラック協会からの出損金による事業が対象となり、その際の議論で、交付金制度の「建付け」の悪さが指摘され、枝野行刷相(当時)から税の直接還付が提案された。
 こうした指摘を踏まえて国交省は、地球温暖化対策税導入に当たり、営業用と自家用で税率格差を設ける要望をしたものだが、一方で交付金制度については制度の延長を要望していないため、トラック業界内でも「交付金制度は一体どうなるのか」と戸惑いの声があがった。
 ここへきて、民主党政策調査会に設置された行政刷新PTが、「再仕分け」に向けた作業を本格化させている。昨年秋の第1弾、今年5月の第2弾で行った事業仕分けの結果が、各省の概算要求などに反映されているかどうかをチェックするための作業で、対応が不十分な場合には「再仕分け」を行う考えだ。
 全ト協の交付金事業についても6日、国土交通省などを対象にヒアリングが行われ、そのなかで同省側は、地球温暖化対策税の税率格差が実現した場合には、運輸事業振興助成交付金は廃止されるとの考えを示した模様だ。
 一方で、昨年末の税制改正大綱で交付金制度は期限を定められずに「従来通り継続する」とされているため、地球温暖化対策税の導入を内容とする税制改正に時間がかかる場合には、交付金制度の継続を前提に、事業の透明性を高める取り組みを行っていく考えを示したという。
 交付金制度の存廃は、地球温暖化対策税の議論次第というわけだが、温暖化対策税に対しては経済界の反発が根強く、しかも参院で与野党が逆転するねじれ国会となっており、導入が難航する可能性もある。
 今年末も、税制改正審議から目を離せそうにない。

(日本流通新聞2010年9月13日付)