営自格差をどうつけるか

行政刷新会議の「仕分け人」から国土交通大臣政務官に就任した津川祥吾氏がインタビューに応じ、全日本トラック協会への事業仕分けについての見解を明らかにした。
 事業仕分けでは、全ト協が行う交付金事業の透明性を高めることが求められたほか、交付金制度そのものの「建付け」が悪い点も焦点となった。
 事業仕分けで焦点となった交付金制度の「建付け」とは、総務副大臣通達に基づき、各都道府県が各県トラック協会に支出している制度の仕組みや、あるいは軽油引取税の暫定税率創設の際、営自格差を設ける必要があったが、徴税技術上困難なために交付金制度が創設された、という制度の根拠などを指す。
 津川政務官はこの「建付け」見直しについて、「例えば環境税の導入なども含めて考えると、幅広の議論になる」と述べ、来年度税制改正で導入が見込まれる地球温暖化対策税と密接に関連するとの見方を示した。
 地球温暖化対策税は、ガソリンや軽油などに課税する新税だが、ガソリン税や軽油引取税が地球温暖化対策税に振り替えられると、交付金制度の根拠にも少なからず影響を与える、と見られているためだ。
 これについては、国土交通省が先週発表した交通基本法の基本的考え方のなかで、環境負荷が少ない交通の実現に向けて、「短距離輸送は自家用トラックから営業用トラックへ、長距離輸送はトラックから鉄道や海運へ誘導すべき」とし、「地球温暖化対策税導入や自動車関係諸税の見直しに当たっては、環境負荷の少ない交通機関や自動車に配慮する必要がある」とすでに「伏線」を張っている。
 営自格差については、枝野行政刷新相(当時)が、税率そのものに差を設ける「直接還付」を提案しており、津川氏も「検討材料のひとつ」と話している。ただ、この直接還付案には総務省税務当局が「さらに不正しやすい土壌が生まれる」と反発しているうえ、現在の交付金額180億円では1㍑当たり1円の差にしかならない。これについて津川氏は「営自格差の話をもう少し根本的なところから議論しなければならない」との考え方を示した。
 中小企業が過半を占めるトラック運送業界には支援策が必要という点で関係者の認識は一致している。津川政務官も「現場の方々が安心して働けるような環境を常に意識して議論したい」と話している。問題は営自格差をどの程度、どのような形で設けるのか。年末の税制改正論議で大きな焦点となりそうだ。

(日本流通新聞2010年6月28日付)