民主党政調に注目

菅内閣が発足し、本格始動した。菅首相は「全員が参加できる民主党にするため、政調を復活したい」として、党役員人事では玄葉光一郎前財務金融委員長を政調会長にあてるとともに、同時に選挙制度改革担当相として入閣させた。「政府と与党の政策調整担当大臣のような役割」(玄葉氏)というわけだ。
 問題は、政策調査会にどこまで権限を付与するかという点だ。玄葉氏は「政調が承認しないと絶対に政策にならないというのではダメだ。一元化という前提で闊達な議論を全員参加でできるか。皆と議論して決めたい」としており、自民党政権時代のような厳格な事前承認制は採らない考えを示している。今後「参院選が終わる頃までに構想上仕組みを作れば活動に支障はない」としており、7月以降本格的に活動を開始する見通しだ。
 前原国交相がぶち上げ、小沢前幹事長をはじめ民主党内からも「実質値上げだ」と異論が相次いだ高速道路の新料金も、新たに復活する党政策調査会で調整が行われていく見通しだ。
 玄葉政調会長は「国交省の言い分もわかるし、小沢前幹事長の言い分もわかる。時間をかけて解決策を見出したい」と述べ、前原国交相も「政調が復活したので、政府と党が一体となって最終形を決めていこうと官房長官、政調会長と話した」と政調での調整に前向きだ。
 ではどのように今後調整を図るのか。国交省案では中・大型車の上限料金を5000円と定めているが、これでは営業用トラックの9割は値上げとなってしまう。大口・多頻度割引の廃止も負担増に結びつく。「流通コストの引き下げを推進する」(前原国交相)といっている以上、現行案より営業用トラックに配慮したものにする必要がありそうだ。
 また、小欄でも主張しているように、トラックについては一般道路から高速道路に誘導するための料金にするという視点が必要だ。一般道路の安全、環境両面を改善することが可能で、多くの国民の理解を得られるはずだ。
 トラックの場合、高速道路料金を荷主から負担してもらえないケースも少なくないため、経費を削減するために一般道を選択することも多い。一般道を走行すれば、当然労働負荷がかかり、ただでさえ労働時間が長い運送事業の労働環境が一段と悪化する。
 経済的弱者であるトラックにこれ以上しわ寄せをすることは、社会全体にとっても決してプラスにはならない。

(日本流通新聞2010年6月14日付)