荷動き改善のいまこそ景気対策を

製造業と卸売業の国内向け出荷量『荷動き指数』の2010年1〜3月実績(見込み)が、2007年10〜12月以来9期ぶりにプラス水準まで浮上した。
 日通総合研究所が3月26日発表した「企業物流短期動向調査」(企業物流短観)によると、1〜3月実績(速報値)の『荷動き指数』は、前期(2009年10〜12月)実績(マイナス28)に比べ33ポイント上昇して、プラス5で大幅な改善だ。
 昨年12月時点で荷主の物流担当者は1〜3月をマイナス15と予想していただけに、大きく上ぶれした。業種別では、鉄鋼・非鉄がプラス45(12月予想ゼロ)、輸送用機械がプラス31(同プラス12)、化学・プラスチックがプラス15(同プラス7)と目立つ。前期の反動もあるが、以外な結果である。
 『荷動き指数』は09年1—3月のマイナス75を底に、09年4—6月は6ポイント改善(マイナス69)し、7—9月が13ポイント改善(マイナス56)、10—12月は28ポイント改善(マイナス28)、そして10年1〜3月は33ポイント改善した。方向性としては、荷動きに持ち直しの動きがみられるといえよう。
 ただ、10年4—6月の『荷動き指数』見通しは5ポイント低下、ゼロ水準まで下降すると予想している。4—6月の予想は、荷主企業が不安感を持っているためと思われる。
 要因としては家電エコポイントやエコカー補助が一巡すること、民主党政権への不満などが、荷動きを依然として力強さに欠ける展開とさせている。
 勢いはプラスになっているが、水準自体はリーマンショック以前に届いていない“8割経済”で推移している。
 日通総合研究所によれば、10年度の国内貨物輸送量は、内需に力強い回復が見込めないなかで、11年連続のマイナスが必至だという。
 貨物では、消費関連が個人消費の増勢がいくぶん強まることに加え、前年度の減少の反動もあって、0・9%増と小幅だが、増加に転じるとみている。生産関連貨物は化学薬品に堅調な動きが見られ、前年度まで不振だった機械類や鉄鋼なども小幅な増加が予想される。
 輸送機関別では、営業用トラックは消費関連、生産関連貨物に1〜2%台の増加が見込まれている。
 『荷動き指数』の10年1〜3月実績は、荷主の見方より上ぶれし、想定外のプラスになった。
 いまこそ、民主党政権には息切れしそうな現状を打破する景気対策を求めたい。

(日本流通新聞2010年4月5日付)