事業仕分け 正々堂々と主張を
行政刷新会議の事業仕分け第2弾が、独立行政法人と政府系公益法人を対象に4月下旬と5月下旬に行われることになった。国民の前で仕分け人が税金の無駄遣いを指摘し、予算をばっさり削減するその「勇姿」は、国民から大きな支持を得た一方、「高圧的で一方的」などと批判的な意見もある。
そしてその事業仕分け対象の「有力候補」とも受け取れる、50法人リストに、全日本トラック協会の名前が記された。
枝野行政刷新担当相は11日の記者会見で「(ヒアリングの)対象となったからといって問題であると決まっているわけではない」と述べ、ヒアリングの結果、事業仕分けの対象とならない可能性もあることを示唆したが、何か腑に落ちない。
枝野氏が公表した50法人リストには、○○機構、○○財団といった政府系公益法人の名がずらりと並ぶ。その中に業界団体である全日本トラック協会の名があるのは、いかにも唐突であり、違和感を覚えるのは本紙だけではないだろう。
50法人は、ヒアリング対象となる290法人のうち、過去に会計検査院や国会審議で問題が指摘された法人で、全日本トラック協会については、国会審議で天下りが指摘されたことなどがリスト入りのきっかけとなっているようだ。
また、行刷会議側が仕分け対象を絞り込むに当たり、「国の指定、登録等に基づき特定の事務・事業を実施している法人」という条件があり、これに、国と適正化事業実施機関との関係が該当するのだという。
ただ、適正化事業は、労働組合からの要請もあり、事業者の法令順守等の観点で、業界の自主的事業として行われている事業であり、国から委託を受けた事業を丸投げして手数料だけ取る「トンネル法人」の事業などとは明らかに一線を画す。国土交通省の桝野自動車交通局長も「これで儲けているわけではないので、説明して必要な事業、必要な機関であることを理解してもらえるよう説明していく」と話している。
協会事業の原資となっている交付金制度についても、昨年末の税制改正論議を経て、現政権のもとで最終的に現状維持とされたばかりだ。
多額の基金がよく問題視されるが、これも融資等の担保として融資額の3倍の基金が必要という商工中金とのルールに従ったものだ。額だけ見ると多く感じるが、14兆円という市場規模から考えれば決して多額とはいえない。
果たして事業仕分けの対象になったとしても、正々堂々と協会事業の必要性、妥当性を主張してほしい。
(日本流通新聞2010年3月15日付)