民主との関係、新たな段階に

民主党にトラック議員連盟が誕生した。最高顧問に羽田元首相を迎え、会長には小沢幹事長側近とされる奥村展三氏が就いた。
 事務局長に就いた石井章氏は「小沢幹事長の指導のもと、民主党独自の議員連盟を立ち上げろということもあり、羽田元総理、奥村先生の尽力で今日に至った」と述べ、小沢氏の肝いりで議連が発足した経緯を明らかにしている。来夏の参院選をにらんで、自民党支持の業界を切り崩さんとする小沢氏の思惑が見える。
 国政の政権与党は民主党である。与党と良好な関係を築くことは、業界が抱える様々な課題を解決していくために不可避のことだ。ただ、長年に渡り築いてきた自民党との関係も、下野したとたんに縁を切る、というわけにもいかず、難しい対応を迫られる。とくに選挙協力を求められた場合にはなおさらだ。
 国政は民主党政権だが、県政では自民党が与党であるなど、中央と地方でねじれている地域も少なからずあろう。そのようなケースではさらに難しくなる。
 来年度税制改正審議が大詰めを迎えていた昨年末、中西英一郎会長をはじめとする全ト協幹部は、交付金制度の延長や環境税の導入反対など業界の要望を実現すべく、数度にわたり民主党幹事長室に要望活動を展開した。各地方トラック協会でも民主党県連に対して陳情攻勢をかけ、それらが全て党幹事長室に集約された。
 その結果、12月16日に小沢幹事長が鳩山首相に提出した「重要要点」では、「バス・トラックへの助成金」との表現で運輸事業振興助成交付金を取り上げ、政府・与党間で調整するよう求めた。その後民主党幹事長室が調整に乗り出した結果、交付金は従来通り継続されることになった。
 民主党のマニフェスト(政権公約)には、トラック運送事業に大きな影響を及ぼす事項が少なくない。暫定税率の問題に始まり、CO2排出量の25%削減や環境税導入、高速道路無料化などは、今後も大きな政治マターとなるだろう。直近では、高速道路料金の大口・多頻度割引などの割引制度見直しが議連の俎上にのぼる可能性が高い。
 日雇い派遣を禁止する労働者派遣法改正問題でも、全ト協の引越部会が中心となって民主党に要望活動を展開する予定だという。県連↓党幹事長室という陳情ルートを活用し、各県の引越部会からも陳情攻勢をかける考えのようだ。
 政権交代から5ヵ月。議連発足を機に、政権与党・民主党との関係は新たな段階に入る。

(日本流通新聞2010年2月8日付)