新政権、景気回復へ正念場
中国のGDP(国内総生産)が急激な回復を見せている。昨年1〜3月期に6・1%にまで落ち込んだ成長率は、10〜12月期には10・7%の2ケタ成長に回復し、金融危機以前の水準にまで戻った。09年通年の成長率は8・7%だ。2010年のGDPは日本を追い抜き、中国が世界第2位の経済大国になる可能性が高いという。
日本経済に目を転じると、7〜9月期のGDP成長率は年率で1・3%成長にとどまった。速報値では4・8%増だったが、設備投資がマイナスに転じたことなどにより大幅な下方修正となったかたちだ。
1・3%成長の寄与度を見ると、内需がマイナス0・2%なのに対し、外需がプラス1・5%と、外需主導のプラス成長となっている。内需のうち、民間需要は0・2%のプラス寄与だが、公的需要は公共事業の削減により0・4%減の減少に転じた。一方の外需の内訳は、輸出が3・5%のプラスなのに対し、輸入はマイナス2・0%で、輸出頼みだ。
トラック運送業界では、依然として保有車両の減車傾向が続いている。昨年10月末現在の営業用トラックの保有台数は108万9995台で、11カ月連続で減少した。1年半前の08年4月と比べると、約4%、4・5万台も減少している。
2007年まで緩やかに増加基調を保ってきた営業用トラックの保有台数は、08年から減少に転じている。トラック運送事業者は、荷動きが戻った時のことを考慮して、有休車両として維持することも多かったが、こらえきれずに減車に踏み切る事業者が増えていると見られる。
同じく増加基調を続けていた輸送トンキロも08年度は減少に転じている。
政府が昨年12月30日に閣議決定した「新成長戦略」で、グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略、ライフ・イノベーションによる健康大国戦略、アジア経済戦略、観光立国・地域活性化戦略——の4つの戦略を打ち出した。
中国をはじめとするアジアの成長を取り込むことによる外需にも頼りつつ、環境や医療・介護・健康といった分野で新たな市場を創出し、新たな国内需要と雇用を拡大していこうという考え方で、「コンクリートから人へ」という基本方針に則り、公共事業による経済成長からの脱却をめざしている。
来年度以降、子ども手当や高校無償化といった新政権による新たな施策が具体化し始める。内需主導による力強い回復基調に日本経済を導けるか、新政権は正念場を迎える。
(日本流通新聞2010年1月25日付)