30年で10兆円の経済効果

フィジカルインターネット実現会議

経済産業省、国土交通省は9日の「第5回フィジカルインターネット実現会議」で、物流のあるべき将来像として2040年を目標とするロードマップ案を示した。経済効果と温室効果ガス排出量の削減効果をパフォーマンスの指標とし、経済効果は30年で7・5~10・2兆円、40年で11・9~17・8兆円と試算。温室効果ガスは物流におけるエネルギー起源CО2排出量を30年度で13年度比35%削減とした。フィジカルインターネット(PI)は欧米等で注目を集める、企業・業界の垣根を越えた輸送容器の規格化や物流データの共有などで効率的な共同輸配送を実現する概念。ロードマップ案は報告書としてPIのコンセプト、歴史、海外動向や実現する社会のイメージ(効率性、強靭性、良質な雇用の確保、ユニバーサル・サービス化)を示した上で、6つの項目から現状と解説を記述している。前回会合でも提示した、5年毎の各項目の進捗が分かるロードマップ図を記している。
6項目は、ガバナンス、物流・商流データプラットフォーム(PT)、水平連携(標準化・シェアリング)、垂直統合(BtоBtоCのSCM)、物流拠点(自動化・機械化)、輸送機器(自動化・機械化)。各項目のロードマップ解説をみると、垂直統合は「30 年度までに商取引慣行で物流コストを可視化しやすくし、リードタイムの延長等、物流事業者の作業負荷を軽減するよう是正」とし、具体的なアクションプランの策定、実行の必要性を明示。これらにより「30 年代には消費者情報・需要予測を起点に製造拠点の配置も含め、サプライチェーン全体が最適化した〝デマンドウェブ〟への進化」を描く。水平連携は「26-30年度にPIのプロトタイプとなる地域内の物流の水平連携、31 年度以降から業界間、地域間、国際的な連携」を展望する。データPTは「26年度以降には中小も含む幅広い事業者が参画し、シームレスにデータ連携ができる物流を実現。自動交渉の技術が連携を促進する」とし、「31 年度以降には物流・商流を超えた業種横断のPTを構築」と見据える。ガバナンスでは「PTを利用する場合の費用と利益のシェアリング等ルール」など想定する。次回会合(3月4日予定)で委員の意見を反映、年度内に取りまとめる。