適正運賃収受の堅持を

各景況指数や企業の決算からも新型コロナウイルスの感染拡大が物流に甚大な影響を及ぼしていることが鮮明になっている。
全日本トラック協会の1-3月期景況感の判断指数はマイナス81・7に落ち込み、4-6月期見通しはマイナス125。リーマンショック後、経済低迷が続いた2009年1-3月期のマイナス133(過去最低水準)に近い。
1-3月期は見通しよりも20ポイント悪い。感染拡大も勘案されていただろうが、事業者側もその影響が想定以上であることが伺える。
帝国データバンク(TDB)によると、4月の運輸・倉庫業界の景気DIは前月比5・3ポイント減の22・4。こちらも過去最低の15・9(09年2月)に近づく。
TDBの景気DIは50を境に上は「良い」、下は「悪い」を意味する。全業種の景気DIも前月比6・7ポイント減の 25・8。51業種中14 業種で景気DIが過去最低だ。運輸・倉庫業のDI見通しは、3カ月後21・1、6カ月後25・0、1年後32・9という。
荷動きの鈍化で単価も頭打ちの傾向にある。
4月分のWebKIT成約運賃指数は前月比6ポイント減、前年同月比10ポイント減の120。前年同月比では7カ月連続で前年割れ。この成約運賃指数は2010年4月を「100」としたものであり、直近では18年6月(118)以来の低い水準だ。
TDBの4月指標も運賃・料金を示す販売単価DIは48・8に下げた。50割れは2017年8月以来。全国中小企業団体中央会の運輸業の販売価格DIも3月時点でマイナス5・5と、16年8月以来のマイナス指標に転じている。
先の全ト協の指数で運賃・料金の4-6月見通しを見ると、1-3月に対し一般貨物は21・9ポイント、宅配貨物は13・4ポイント、宅配以外の特積貨物は24・1ポイントそれぞれ悪化すると見ている。
トヨタ自動車の今期営業利益8割減予想は経済に大きなインパクトを与える。物量全般には低迷が続くが、一方で食料品や日用品をはじめ在宅消費の急増に対しては、物流が正常に機能しなければならない。
コロナの終息後も物量が戻るには時間がかかる。「新しい生活様式」が実践されることで社会活動が変化し、物流に求められるものも多様化されるだろう。
日常を支えるトラック運送業はこうした動きを見据えながら、盤石な収益基盤へ適正運賃収受の取り組みをしっかりと継続する必要がある。