持続可能な物流体制構築へ

持続可能な物流体制の構築をめざして、家庭紙メーカー4社とレンタル業の企業で、今秋から統一パレットの運用を開始する。

家庭紙を製造・販売する王子ネピア、カミ商事、大王製紙、日本製紙クレシアの4社とユーピーアールは統一パレットの利用・回収に関する業務提携を結び、「家庭紙パレット共同利用研究会」を設立し、統一パレットの共同利用・回収を業界に呼びかけていく。

背景には、産業界共通の認識となりつつある、ドライバー不足の慢性化による物流危機があるようだ。

家庭紙メーカーによると、嵩(かさ)高で軽量なディッシュ―ペーパーやトイレットロールなどは、車両積載効率を上げるため、手積み手降ろしで段ボール箱を運び、1回2時間程度かかるという。

物流業界では、ドライバーの長時間拘束や入荷車両の長時間待機など労働環境の改善が課題となっており、作業負荷の軽減や労働時間の短縮が見込まれるパレット活用の取り組みが進められている。

家庭紙メーカー4社は、ドライバーの長時間拘束や入荷車両の長時間待機などを解決するため、手作業からパレット納品の速やかな実現に向けて、今回「家庭紙パレット共同利用研究会」が統一パレットの共同利用・回収を広く業界に呼びかけることとした。

統一パレットは、グリーンで色を統一し、標準T11型プラスチックパレットのほか、家庭紙の製品ケースのサイズを考慮し、トラック荷台への積み付けに最適なプラスチックパレット2種類を導入し、この10月から家庭紙メーカー4社はそれぞれパレット納品を開始する。

パレット共同利用促進では、農林水産省が農産物輸送でドライバーの負担軽減や物流効率化につなげるため、「農産物パレット推進協議会」(仮称)の立ち上げを支援する。

日本パレット協会によると、2017年度のパレット生産数量は前年比8・7%増の6927万枚。企業収益の続伸などを反映して2年連続で8%台の増加となり、生産数量は過去5年間と比較して最も高い数量となった。また、レンタルパレットの保有数量は2・2%増と堅調な足取りで2100万枚台に達した。

これまで、パレットの活用は、手荷役排除による物流コスト削減効果面だけが強調されたように思う。

しかし、今回のパレットの活用には、作業負荷の軽減や労働時間の短縮などをはじめ、全体の物流改善、ひいては将来にわたる持続可能な物流体制の構築につながることが期待されている。