安全運行で確かな信頼を

国が一昨年6月に策定した「事業用自動車総合安全プラン2020」を踏まえ、全日本トラック協会は車両1万台当たり死亡事故件数「1・5」以下とすることを各都道府県の共有目標に掲げるが、1~6月件数の推移では「1・6」と未達であり、安全運行の徹底へ一段の対策強化が必要だ。
1~6月のトラックが第一当事者となった死亡事故件数は103件と前年の108件から5件の減少にとどまった。事故類型別の傾向をみると、「車両相互」が前年同期の66件から39件に減少した一方、「人対車両」が前年同期の35件から51件に増えて車両相互を上回った。このうち横断中事故が32件を占める。
全ト協ではこれら詳細な分析・結果をもとに事故防止対策を進めているが、あらためて事業者は輸送の安全が最優先との認識を強くし、組織一体による意識の高揚が求められる。
総合安全プラン2020では、20年までにトラックが第一当事者となる交通事故死者数200人以下、人身事故件数1万2500件以下、飲酒運転ゼロを目標に置く。事故件数、事故死者件数はともに減少傾向だが、減少率は小幅なままだ。
さらに飲酒運転の根絶に対しては、大きな開きがある。
昨年のトラック飲酒運転事故は34件発生した。15年の49件から確実に減少しているものの、今年に入っても引き続き発生しており、国土交通省では5月に運転者に対する指導監督の徹底について、一層注意を図るよう通達を出している。
21日からの秋の全国交通安全運動でも飲酒運転の根絶は全国重点の1つに置かれる。指導監督の適切な実施とともに検知器使用による確認を確実に行うなど、適切な点呼実施を呼びかける。とくに飲酒運転事故はトラック運送業界全体の社会的信頼性を失うものであり、今一度徹底したい。
横浜市の京浜急行電鉄本線踏切で発生した、列車とトラックの衝突事故は事業用自動車事故調査委員会が「特別重要調査対象」として調査に入った。原因等詳細はこれからだが、やはり社会的影響は大きい。
トラック運送業界は働き方改革を進め、国の支援、荷主等の理解、協力も得ながら労働環境改善と適正運賃収受に努めている。重要インフラとしての価値を高める中で、事故防止対策は輸送の安全とともに、こうした社会との信頼関係をより確かなものにするという意識で取り組む必要がある。