働き方改革を転換点に

2019年がスタートした。

今年は、改正貨物自動車運送事業法が昨年12月8日に全会一致で可決成立したことを受け、トラック運送業界の健全な発展に向けた新しい時代の幕開けといえよう。改正事業法は、トラックドライバー不足により物流が滞ることのないよう、労働条件の改善を図ることが目的である。

全日本トラック協会の坂本克己会長は、トラック運送業界で早急に改善しなければならない最大の課題として「トラックドライバーの長時間労働の是正」と「トラックドライバーの処遇改善・労働条件改善」をあげている。

輸送の現場で額に汗して働くトラックドライバーが誇りを持って働いてもらうためには、賃金や労働時間などの課題を解消し、ドライバーの仕事をもっと魅力あるものにしていかなければならない――と。

そのため、全日本トラック協会は、わが国の経済活動や国民生活を支えるトラック事業の健全な発展を図るとともに、トラック運送業界に対する国民の期待に応える一方、「悪貨が良貨を駆逐する」現実を打破するため、貨物自動車運送事業法の一部改正に向けた取り組みを推進してきた。

今後は、改正事業法の柱である「規制の適正化」「事業者が遵守すべき事項の明確化」「荷主対策の深度化」「標準的な運賃の告示制度の導入」措置への対応が求められている。

事業法改正の目的は、トラックドライバーの労働条件の改善を図り、トラック事業の健全経営に役立つ取り組みである。

なかでも長時間労働の是正には、生産性の向上や取引環境の改善などの「働き方改革」への対応を加速させる必要がある。今年は全事業者に働き方改革に取り組んでもらうため、「解説書」を作成し、全国で解説書の周知セミナーを開催する方針だ。

来年度予算では、国交省自動車局がトラック運送事業の働き方改革推進のための予算を5割増とし、「ホワイト物流」推進運動の展開や輸送品目別の荷待ち時間削減など、荷主と連携した生産性向上の取り組みを後押しする。

一方、景気である。日通総研の国内貨物輸送の見通しによれば、2018年度通期は0・9%減と3年ぶりのマイナスだが、19年度は0・4%増と小幅ながらプラスへの浮上を予想している。

営業用トラックの18年度は消費関連貨物が通年で堅調に推移し0・1%増。19年度は上期増加の後、下期は反動減でマイナスに反転するものの0・9%増と4年連続プラスの見通しだ。

2019年1-3月の「荷動き指数」見通しはプラス7で、前期(18年10-12月)のプラス11から4ポイントダウンを予想している。ただ、19年1-3月「運賃・料金動向指数」は、一般トラックがプラス42(18年10-12月プラス40)特別積合せトラックがプラス40(同プラス37)と上昇する見通しである。

運賃と料金を明確に分離した標準貨物自動車運送約款の浸透を加速させ、適正な運賃・料金の収受に取り組まなければ、生産性向上や健全経営は実現できない。

石井啓一国交相は、新春インタビューに答え、「昨年は生産性革命『深化の年』と位置付けたが、今年は『貫徹の年』として臨みたい」と、話している。

2019年、トラック運送業界の転換点となる年にしたいものである。