会社そのものの活力高める

「健康経営優良法人」の認定企業数が年々増え、先ごろ公表された「2022」ではとくに中小規模の認定数が昨年の5割増、一昨年に対しては2・5倍と飛躍的な伸びだ。事業環境が厳しい中で、従業員の健康管理を経営的な視点でとらえ、健康保持・増進につながる取り組みを戦略的に実践する「健康経営」への関心はますます高まっている。
健康経営優良法人制度は、特に優良な健康経営を実践する大企業や中小企業等の法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから評価を受けることができる環境整備を目的に、経済産業省が2016年度に創設した。
興味はあっても何から始めるか、実践にあたって何が重視されるのか、とりわけ中小規模ではハードルが高い印象もある。国は、まず取り組む姿勢を社内外に発信した上で、担当者・部署の設置による環境づくり、具体的な目標設定と実行、経営層を含めた効果確認の4つのステップとして活用を促す。自治体を含めインセンティブ・支援策も掲げ、これらを積極的に訴求、理解を求め制度の認知も着実に広がっている。
2024年問題が間近に迫るトラック運送業界は人材確保が喫緊の課題であり、働きやすい職場環境づくりに頭を悩ませる。
自動車運送事業者の「働きやすい職場認証制度」の認証実施団体である、日本海事協会が制度初年度である20年度の認証事業者に行ったヒアリングなどから、このほど事例集を作成した。ホームページに掲載し広く周知を図る。
23の具体的な取り組みについて、その経緯から、実践して難しかったこと、工夫したこと、成果など詳細にまとめており参考になる。
トラック関係では、改善基準告示を遵守するシステムの導入、様ざまな認証取得を通じた社内の意識改革、職場体験によるドライバーの魅力の紹介や、荷主交渉でドライバーの労働時間削減と定着率を向上した事例など、多様なやり方があることが分かる。
これからの若い人たちがトラック運送業界に関心をもってもらうよう、いかに労働環境を改善し魅力度を高めるか。検討が進められている改善基準告示見直しの議論においても大きな焦点となっている。
業界全体の底上げとともに現場の意識改革が大事だ。人手不足や採用難は社内の活気にも影響する。健康経営をはじめ各認証取得やその「見える化」は、従業員の健康とともに会社そのものの活力を高める。