モラルアップの意識を

秋の全国交通安全運動が21日から行われる。新型コロナウイルス対策から春に続き期間中街頭啓発の1部自粛などの影響はあるものの、輸送の安全が最優先という安全意識の高揚を促すよう周知したい。
 国土交通省の実施計画のうち、事業用自動車の安全運行に関して新たなテーマに加えたのが妨害運転対策。いわゆるあおり運転で、その悪質性・危険性を周知し防止を徹底する。改正道路交通法で妨害運転に対する罰則が創設、法体制が整備されており再確認する必要がある。
 あおり運転防止の実施計画には「適正診断の結果も活用するなど、運転者に対し思いやり・ゆずり合いを意識させ、周囲の交通に配慮した運転に努めるよう指導すること」「ドライブレコーダーの利用及び映像の活用を図る」が盛り込まれ、これらを実践したい。
 このほかは従前からの継続テーマだが、体調急変に伴う事故防止や、飲酒運転の根絶に向けた指導監督については、引き続き事故件数が増加傾向にあり一段の留意が必要だ。トラックについてはやはり発生件数の多い追突事故であり、防止対策のさらなる強化が求められる。
 全日本トラック協会では「飲酒運転根絶」と「追突事故及び交差点における事故の防止」を最重点推進項目に掲げ事前に働き掛けており、より効果的な取り組みが期待される。
 安全対策は時代とともに変わる。事故状況を踏まえながらも世の中の動きと合わせた施策が必要だ。
 国は次期「事業用自動車総合安全プラン」策定へ議論を進めている。この間の環境変化や新型コロナウイルスに伴う新しい生活様式の変化も踏まえて重点施策を見直す中で、とくに「飲酒運転対策」、「運行管理の高度化」、「高齢者などユニバーサル対策」の3項目の検討に重きが置かれる。
 飲酒運転は喫緊課題であり次期プラン策定でも重点テーマとなる。あおりも含めこれら悪質運転は反社会的行為として抜本的対策を講じる必要がある。悪意ある事故をいかに防ぐかに直面していることを再認識したい。
 事業用自動車の事故件数は今年上半期も減少傾向だが、飲酒運転事故は続発する。事故を無くすのでなく飲酒運転そのものを根絶するという目標との乖離は大きい。
 コロナ禍でも物流を維持し、地域の生活と経済を支えるエッセンシャルワーカーの信頼性を失墜させないためにもモラルアップの意識を徹底したい。