課題解決へ情報共有を
各地で行われた関係団体の総会では、厳しい事業環境において会員間の情報共有、活発な意見交換を望む声がトップの挨拶などから多く聞かれた。
感染者数は下げ止まり予断は許さない。一方でウイズコロナを前提とした対策も進み、業界団体の全国組織でも今年は多くが対面での総会を実施、懇親会を開催するところも見られた。
コロナ禍の影響の混乱が落ち着いたところで燃料高騰、ウクライナ情勢に上海ロックダウン、円安・物価上昇と外的環境変化は慌ただしく、課題解決には関係者間でしっかり情報共有する必要性が増す。
日本物流団体連合会の池田潤一郎会長は6月27日の通常総会後の会見で物流全体を俯瞰する物流連の役割、活動の重要性にふれ、国際物流の目詰まりが続くことについて「海、陸、空の個別で解決する話ではない。それぞれの課題を共有しチャレンジングなことだが、物流連としてできることを積極的に提言したい」との意向を述べた。
就任2年目となる池田会長はこの1年はウェブ併用で活動を進めてきたが、「海、陸、空ではそれぞれ理解が至らない点もあると思う。コロナ次第だが役員間の対面交流をもっと進める必要がある」との見方を示す。
日本倉庫協会の久保高伸新会長は、物流DXの推進やカーボンニュートラルの政策など、とりわけ中小事業者としてどう取り組むべきか難しい状況でもあり、補助金支援やガイドラインの策定などを講じながら「会員各社の要望を積極的に聞き出すことに努めたい」と述べる。6月9日の通常総会の場において、会員事業者の協力、各地区会との連携が不可欠であるとし、会員の要望を「聞く」から「聞き出す」という姿勢を強調する。
全日本トラック協会の坂本克己会長は6月30日に行われた通常総会の挨拶で、トラック運送業が荷主からの適正運賃収受や燃料高騰の価格転嫁を進めるべく、関係省庁が連携で後押しする体制にふれ「果敢に荷主と交渉する。ここは土俵に上がって勝負に出てほしい」と力強く呼び掛けた。標準的な運賃、燃料サーチャージの活用を促した。
全ト協では3年ぶりに総会後の懇親会を行い、秋の全国大会も予定するなど、業界が一致団結して困難を乗り越えようとの機運を高める。
行政の後ろ盾も厚みを増す。反転攻勢のフェーズも見据え、企業が前向きな策を講じるにも、活力を生むような親睦を促す業界団体の役割は大きい。