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日本流通新聞4月4日付紙面から

社説:「相互の強みを活かせる提携」

佐川急便を傘下に置く陸運業界3位のSGホールディングス(SGH)と4位の日立物流が3月30日、資本業務提携を発表した。両社は、経営統合を視野に協議を進める。

資本提携では、SGHが日立物流の発行済株式総数の29%を約875億円で取得し、日立物流は佐川急便の株式の20%をSGHから663億円で取得する。記者会見で資本提携の意義を問われた両社トップは、経営統合へ向けた「覚悟」であると強調した。

佐川急便のデリバリーと日立物流の3PLがシームレスにつながる総合物流サービスの実現で、川上から川下(集荷・3PL・配送)全体をカバーし、拡大するアジア事業での競争力強化と事業拡大を図る。

SGHの町田公志社長は「相互の強みを最大限に生かせる提携。荷主にデリバリーと3PLがシームレスにつながる一貫した総合サービスを提供できる。海外展開でも、先進的ロジスティクスチームGOALをより進化させることが可能となった」と提携のメリットを指摘した。

日立物流の中谷康夫社長は「日立物流にはデリバリーの土台がない。これが協業の動機となった。デリバリーがないとバリュ—チェーン全体をカバーしていることにはならない。佐川急便との協業で、国内はもとより、東南アジアを中心とした海外でも圧倒的優位に事業を進めていきたい」と意気込みを語った。

佐川急便の荒木秀夫社長は「コア事業であるBtoBのさらなる強化を図りたい。インバウンド・アウトバウンドの強化、さらにメーカー物流、工場物流まで、より川上をめざしていきたい。佐川急便の営業所は452カ所あり、昼間はTC機能(通過型倉庫)として提供できるほか、相互の路線便の有効活用も可能」などと、佐川急便&日立物流の施設・車両のシナジーに期待した。

海外事業では、日立物流が欧州や米国でアセットを持った事業を展開している。中谷社長は、トルコを起点としたインターモーダルにも佐川急便の顧客をつなぎ、メキシコと米国とのクロスボーダー物流を提供することも示唆した。海外志向が強い佐川急便の顧客にサービスを提供できれば、ビジネスチャンスが出てくるとみている。

2015年3月期の連結売上高は、SGHと日立物流の単純合計で1兆5360億円。陸運業界では、日本郵便を除くと、日本通運(1兆9249億円)に次ぐ業界2位の規模になる。
提携から経営統合の見極めまでには2〜3年かかる見通し。これを機に、業界再編が加速しそうだ。

 

 

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