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日本流通新聞9月14日付紙面から

社説:健康起因事故防止の取組に期待

事業用自動車の健康起因事故防止に向けた取り組みが活発になっている。

超党派で発足した、「運転従事者の脳MRI健診推進議員連盟」の設立総会では、ひな壇に自民、公明、民主各党の幹部が顔を揃えた。

設立総会で講演した、運転従事者脳MRI健診支援機構の水町代表理事は、自らのクリニックで2年間かけて検査を行った結果から、運転従事者の脳動脈瘤率は0.8%だとし、「2万4000人の運転者が脳動脈瘤という事実を放置しておけない」と取り組みに意欲を示した。

国土交通省によると、事業用自動車(トラック、バス、タクシー)の死亡事故に占める健康起因事故の割合は8.4%で、疾病別では、脳疾患が26%、心疾患が46%を占める。

脳疾患の中でも、予兆なく突然発症するクモ膜下出血が問題視されている。クモ膜下出血は、脳動脈瘤が破裂して起きるため、未破裂脳動脈瘤を発見できれば、予防と治療が可能になる。

このため、運転従事者脳MRI健診支援機構は、従来4〜6万円かかっていた脳のMRI検査を、未破裂動脈瘤の発見に特化することで約2万円に抑え、普及を図りたい考えだ。

この脳MRI健診については、バス業界やタクシー業界で先行して導入が進められているが、トラック業界でも埼玉県トラック協会が、脳MRI健診支援機構と連携して会員事業者の従業員が受診できるようにする仕組みを構築。今秋から受診費用を助成することになった。

埼ト協では、60歳以上の高齢従業員を対象に認知症スクリーニング検査など4種類の健診の受診費用を助成する予定で、脳MRIについては受診費用の半額に当たる1万円を助成することになっている。

大手企業では、SGホールディングスがすでに脳MRI健診の導入に向けた契約を支援機構と締結したほか、ヤマトホールディングスも契約に向けて詰めの作業中だという。

一方、国土交通省は今月17日、事業用自動車健康起因事故対策協議会を設置し、初会合を開く。医療関係者、安全関係各種団体、トラック、バス、タクシーの各業界団体代表らで構成し、各種スクリーニング検査の普及方策を探るものだ。

とくに中小事業者が多くを占める運送業界では、検査費用の高さが普及の障壁になる。このため、低コストで効果的な検査方法などを整理する考えだ。

健康起因事故防止に向けた、立法、行政、民間の取り組みが進展することを期待したい。

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