日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞6月15日付紙面から

社説:新免許で地位向上を期待

 準中型免許の創設を盛り込んだ改正道路交通法が国会で成立した。
 準中型免許は、貨物自動車が大部分を占める車両総重量3.5t以上7.5t未満の自動車を運転できる免許で、運転経験を問わず18歳から取得できる免許だ。車両特性に応じた運転技能を習得するため、試験や教習は貨物自動車を使用して行う。
 全日本トラック協会は、改正道交法成立を受けて発表した会長談話で「長年にわたって行ってきた要望が実現した」と歓迎した。
 全ト協の当初の要望は、普通免許で運転可能な総重量範囲の上限を現在の5tから6.5tに引き上げてほしいというものだった。
 警察庁に設置された有識者検討会は、A案(普通免許拡大案)、B案(中型免許一部年齢条件緩和案)、C案(新免許区分導入案)という3案を提示して、検討を進めた。
 一方、普通免許拡大案と中型免許緩和案には、交通事故被害者遺族が「若年層になるほど事故率が高くなるといった実態に鑑み、単純に普通免許の上限の拡大や中型免許の取得年齢引き下げは、交通事故を増やすことにつながることから受け入れられない」と反対。検討会でも、安全性の確保、社会的合意の見通し、海外事例との整合性の視点から比較検証した結果、C案をベースにさらなる総合的な安全対策を検討していくことが適当、との結論に至った。
 そのC案を具体化したものが、準中型免許の創設だ。18歳で取得可能となるため、高校卒業直後の若年ドライバーが、域内輸送を担う集配車やコンビニ配送車を運転することが可能となり、若年ドライバーの採用促進につながると期待されている。
 国会審議では、各党とも新免許区分の創設に理解を示し、トラックドライバー不足に懸念を示した。「免許制度を周知徹底しないと改正の意味がない」との指摘や、「免許取得に補助金を創設すべき」との意見もあった。
 答弁した国土交通省の宮城審議官は「若年ドライバーの採用促進に資する」などと準中型免許の効果をあげ、山谷国家公安委員長も「労働条件を適正化することで事故を抑止することは重要なことだ。貨物自動車の事故防止対策に政府一丸となって取り組みたい」などと答えた。
 全ト協の会長談話も「準中型免許制度を積極的に活用し、若年運転者の雇用促進と輸送力の安定供給に努めるとともに、一層の交通安全対策を推進していく」としている。
 新たな免許制度の創設により、若年者の雇用促進、トラックドライバーの地位向上が進むことを期待したい。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら

 

 
takeda