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日本流通新聞4月20日付紙面から

社説:準中型免許創設に期待

 新たな運転免許区分として、車両総重量3.5t㌧以上7.5t未満の自動車を運転可能な「準中型自動車免許」を設けることなどを内容とする道路交通法改正案が17日、参院を通過した。
 準中型免許は、受験資格を18歳以上としており、高卒直後の若者がトラック運送業界に就職して、すぐに活躍できるようになる。
 これまで、普通免許でも5t未満の貨物自動車(小型トラック)を運転できたが、宅配の集配やコンビニ配送などで主に使われる積載量2tの小型トラックは、保冷設備を加えると総重量5tを超えるケースが多く、中型免許が必要だった。
 また、中型免許の受験資格は20歳以上のため、高校新卒者の就職にも影響が出ていた。そのため、ドライバー不足にあえぐトラック運送業界と、卒業生の就職選択の拡大という観点から全国高等学校長会が免許制度の改正を要望していた。
 この社会的要請に応えたのが、準中型免許の創設を盛り込んだ道交法改正案だ。
 準中型免許は、若者がトラック運送業界に入るきっかけとして、期待されている。
 労働人口の年齢構成をみると、29歳以下は全産業平均が17%なのに対し、トラック運送業は10%にとどまる。人材不足や高齢化が進んでいるトラック運送業界にとって、準中型免許の新設により、高卒直後でも宅配やコンビニ配送に携われるようになり、大きなメリットがある。
 国土交通省の幹部は国会審議で、「若者や女性の採用、定着に向けてアピールできる」と準中型免許創設の利点を強調するとともに「処遇改善へ適正運賃収受を進めていきたい」と労働力確保に意欲を示した。
 ドライバー不足が深刻化しているトラック運送業界にとって、労働条件の改善も待ったなしだ。国交省が先月まとめた物流分野の労働力不足対策アクションプランでは、対策の「一丁目一番地」にトラック運転者の待遇改善をあげ、「適正運賃・料金収受や労働生産性向上により、就業者の所得向上を図り、就業先としての職の魅力を向上させることが重要」と指摘している。
 大手企業が賃上げに動くなかで、トラック運送業界でも従業員の処遇改善を進め、物流の中心的な産業としての地位を維持・発展させていく必要がある。そのためには労働時間の短縮も避けて通れない。準中型免許の創設で、若者が業界に入りやすくなっても、肝心の労働条件が整っていなければ、人手不足の解消は望めないのではないか。

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