日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞12月15日付紙面から

社説:運賃値上げで底上げ期待

 今年も残すところあと半月となった。
 トラック運送業界は、燃料価格の変動に振り回された1年だったのではないか。軽油価格は夏場にかけて高騰し、その後原油価格の下落を受けて、円安で相殺された部分もあるが、現在は下落傾向にある。
 折からのドライバー不足、車両不足もあって、中小事業者でも若干の運賃値上げが実現したところもあるようだが、十分な額とはいえないというのが実情だろう。それどころか、最近の燃料価格下落を受けて、早くも運賃値下げを切り出す荷主も現れたという。
 高騰時に十分な手当が得られず、下落し始めた途端に値下げではたまらない。
 全日本トラック協会は今年9月、燃料価格高騰に対応するため、100万人をめざして署名活動を展開した。その結果、目標の2倍を上回る207万人の署名が全国から集まり、与党である自民、公明両党議員に軽油引取税の減税をはじめとする燃料高騰対策の実現を要望した。
 与党では、トラック向け燃料高騰対策の一環として、高速道路料金の大口・多頻度割引最大5割引の維持や車両購入補助などを検討する見込みだ。
 一方、ドライバー不足、車両不足も深刻化した。「WebKIT」の求車情報件数は今年3月、前年同月比68%増の約12万6000件となったが、成約率は同5.4ポイント減の9.8%にとどまり、ドライバー不足、車両不足の実態が明らかになった。
 全ト協の実態調査によると、9〜11月にかけても、7割の事業者が「ドライバー不足」と感じていることがわかり、依然として不足感が続いていることがわかった。
 国内景気は、消費増税後の消費低迷から抜け出せないでいる。全ト協が実施している業界の景況感調査結果によると、4-6月期の判断指数は、マイナス30.8となり、1-3月のプラス14.2から大幅に悪化。7-9月もマイナス34.7と2期連続で悪化した。
 大手企業では、荷主との間で運賃見直しが進んだ1年だったのではないか。日本通運は9月1日から、トラック貸切届出運賃を24年ぶりに実質15%改定し、積合せ運賃についても9.7%改定して11月から実施した。トナミ運輸もこれに続き、積合せ運賃を10%値上げして届出を行い、10月から実施した。
 大手各社は実勢運賃の見直しにも取り組んでおり、こうした動きが広がって、業界全体の底上げにつながることが期待される。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら

 

 
takeda