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日本流通新聞12月1日付紙面から

社説:問われる国内物流のあり方

 トラック運送業界のドライバー不足を背景に、その受け皿として鉄道による貨物輸送が改めて注目されている。
 鉄道貨物輸送は、1965年(昭和40年)に国内貨物輸送量のトンキロシェア30.5%を占めていたが、その後のモータリゼーションにより、長距離輸送もトラックで行えるようになり、現在の国内物流のトンキロシェア(2012年度)は、トラックが51.3%、内航海運が43.4%、鉄道は5.0%となっている。
 その鉄道貨物輸送量がこのところ増加傾向にある。JR貨物によると「昨年11月から潮目が変わった」(田村修二社長)という。その後も今年4月の消費増税後の反動減をものともせず、コンテナ輸送量は9月まで13カ月連続で前年を超えた。
 10月は台風の影響で大動脈である東海道線の一部が10日間不通となったため、前年割れとなったが、11月は再び前年を上回る輸送量になっているという。
 全国通運連盟が行っている「お試し輸送キャンペーン」も今年度上半期だけで用意した年間予算を全て使い切ってしまったり、従来はあまりなかった輸送距離300〜400㌔㍍程度の中距離輸送についても鉄道コンテナ利用の引き合いがあるという。
 化粧品大手のP&Gは11月4日から、化粧品の容器に使うガラス瓶の輸送をトラックから鉄道に切り替えた。従来は埼玉県の供給会社から滋賀工場までトラックで輸送していたが、東京〜京都間を鉄道輸送することで、CO2排出量を約20%削減できるという。
 国土交通省はこれまで、地球温暖化対策としてトラックから鉄道へのモーダルシフト政策を進めてきたが、今後は、少子高齢化のなかでの構造的な労働力不足に対応する観点からモーダルシフトを進めていく方針だ。
 同省では「地球温暖化対策に加えて、労働力不足のなかでいかに効率的な物流を確保するかという視点からの取り組みが必要だ」(藤田耕三鉄道局長)と話している。
 同省は12月5日、国際海上コンテナの鉄道輸送を促進するための調査会を立ち上げる予定だ。調査会では、荷主へのヒアリング調査を行って鉄道輸送に対するニーズや課題を明らかにするという。
 海上コンテナについては、コンテナターミナルでの恒常的な渋滞が問題になっており、鉄道輸送への期待が高まっている分野だ。
 労働力不足に対応した、効率的でバランスの取れた国内物流のあり方が問われている。

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