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日本流通新聞10月20日付紙面から

社説:地域経済が潤う政策を

 全ト協と日貨協連が、協同組合による輸送事業の共同受注拡大策を検討する。
 中小零細事業者は、人材や車両などの経営資源に乏しく、企画力や営業力も大手に比べると脆弱だ。このため、自社の力だけでは元請け受注が困難で、大手事業者の下請けに甘んじることが多く、トラック運送業界の多層構造の一因ともなっている。
 中小事業者で構成する協同組合は、相互扶助の精神のもと、組合員が経営資源を補完し合い、1社では対応できない事業でも共同で獲得することで組合員の経営基盤強化や地元経済の活性化に寄与してきた。
 共同受注の調査研究は、昨年度から行われている2ヵ年事業だ。昨年度は官公需の共同受注の実態調査を行い、今年度は調査結果を受けて、官公需を含む輸送事業の共同受注拡大策を検討する。
 今年度調査では、共同受注を類型化したうえで、組合の取り組み状況やニーズを把握し、成功要因を分析して共同受注の課題と対策をまとめたガイドラインを策定する。
 昨年度の調査では、協同組合による官公需の共同受注についての実態調査を行った。その結果、2013年度の官公需は合計約20兆円のマーケットであることがわかった。国等のうちの54%、自治体の76%が中小企業向けの発注だ。
 このうちトラック運送関連の官公需について、市場規模を把握するには至らなかったが、地域行政に関連する業務として、給食配送など学校関連、図書運搬など図書館関連、機材運搬など選挙関連、放置自転車運搬、書類運搬、広報紙配送、備蓄物資配送など防災関連といった発注案件がある。
 協同組合を対象としたアンケート調査結果によると、官公需受注のメリットとして「組合員の信用力やブランド力が高まる」が6割と多い一方、「トラック運送関連の需要が少ない」も7割を占めた。
 受注促進策としては、「官公需適格組合に対する優先発注」、「地元事業者への優先発注」、「運送と運送以外の業務を分けた分離発注」を求める声が多く、受託する組合や事業者が努めるべき対策としては、「提供する輸送サービスの品質アップ」が最も多かった。
 具体的な案件の落札会社名を見ると、大手事業者の名前が目立つ。「1億円、2億円の大きな仕事は協同組合で受注するのは困難」との声もあるが、地方創生を掲げる政権として、地元事業者に仕事が行き渡るような入札政策、地域経済が潤う経済政策も必要ではないか。

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