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日本流通新聞9月8日付紙面から

社説:人手不足解消し、地位向上を

 トラックドライバー不足が依然深刻だ。全日本トラック協会の調査結果によると、ドライバー不足の傾向が続いている。
 第2次安倍改造内閣で留任した太田国交相は、3日夕の初閣議後の会見で、トラック運送業界のドライバー不足に触れ、「女性トラックドライバーである『トラガール』の活躍の場を作ることを国土交通行政のなかで考えている」と、女性の活用に意欲を示した。第2次安倍改造内閣には、過去最多となる5人の女性が入閣したほか、女性活躍推進担当相を新設するなど、女性の活用を前面に打ち出している。
 国交省によると、トラックドライバーの女性比率は僅か2.4%。同省では、2020年までに女性ドライバーの数を倍増させる目標を立てている。
 ただ、トラック運送業界に女性や若者が新規就労し、定着してもらうためには、労働条件、労働環境が大きな問題となってくる。残念ながら、トラック運送業界は、過酷な労働条件を背景に、中高年層の男性労働力に依存しているのが実態だ。
 問題を解決するには、適正な運賃の収受や労働条件・環境の改善が不可欠で、このことは国交省の「トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会」でも共通認識となっている。
 日本通運が、今月1日からトラック貸切運賃を24年ぶりに引き上げたことも、その一環であろう。同社が値上げに踏み切ったのは、車両価格や燃料価格の上昇に加え、人手不足の顕在化など今後様々なコストが増すと見通したからだ。
 国交省は、働き方を変える取り組みの1つとして、「中継輸送」の導入促進を打ち出している。女性や若いドライバーが働きやすい労働環境を生み出すことが狙いだ。
 長距離輸送の中継点でドライバーを交代させるもので、例えば1泊2日運行を日帰り運行にすることで、不規則な就業形態や長時間労働を解消しようという取り組みだ。自動車局は、来年度予算で中継輸送の実証運行などに1億5000万円を要求している。
 鴻池運輸は、この中継輸送を10月1日から導入する。関東〜関西間の中間地点である静岡県島田市に中継拠点として「スイッチセンター」を開設するという。ここでドライバーが交代するため、ドライバーはその日のうちに家に帰ることができる。
 トラックドライバー不足を解消するための取り組みは、労働条件、労働環境の改善とともに、業界の社会的地位向上にもつながるのではないだろうか。

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