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日本流通新聞10月28日付紙面から

社説:CNG車の灯を消すな

 国土交通、環境両省は、エネルギー対策特別会計を使って今年度から開始する、幹線貨物輸送に大型CNG(圧縮天然ガス)トラックを活用するモデル事業6件を内定した。
 CNG車はこれまで、2t車や4t車などの中小型が中心だったが、国交省が開発を進め、大型ディーゼル車の改造で対応できるようになった。モデル事業では、年明けから営業運行を行い、収集した運行データを分析して効果や課題を抽出する。
 両省は来年度もこの事業に注力する考えで、今年度比3倍超に当たる10億円超の予算を財政当局に要求中だ。
 国内で唯一、CNG車を製造するいすゞ自動車は、最近のシェールガス革命による天然ガス価格の低下期待や石油中東依存の危機意識などから、天然ガスを石油代替の特に重要な燃料の1つと位置づけ、技術開発を進めている。2015年に大型CNG車を市場投入し、続けてLNGモニター車の走行を開始する計画だ。
 CNG車は、ディーゼル車より排出ガスがクリーンで、CO2排出量も少ないという環境面での利点が大きかったが、最近はディーゼルエンジンの改良が進み、CO2の面ではCNG車の優位性が低下してきている。
 いすゞでは「このままではだめだ」(川幡進執行役員)としてCNGエンジンの改良に取り組んでおり、高効率燃焼技術により飛躍的な燃費向上を図り、ディーゼル車比でCO2排出量を約2割削減していく方針だ。
 いすゞはさらに、航続距離の延長に向け、LNG(液化天然ガス)車の開発も並行して進めていく。
 自動車燃料としての天然ガスは、環境性能はもとより、エネルギーセキュリティーの面でも期待度が大きいが、現在はその価格が原油価格に連動する仕組みのため、国内では割高なのが実状だ。
 米国ではシェールガス革命により、天然ガス価格が劇的に下落しており、我が国でも商社やガス会社などが米国政府に対し輸出許可を申請中だ。2017年にこれが解禁される予定で、ガス価格の低下が期待できる。
 規制緩和も必要だ。消防法の規定によりガソリンスタンドの同一アイランドに天然ガスの充填機を併設できないことや、高圧ガス容器の基準が厳しすぎる点が指摘されており、関係省庁の取り組みが期待される。
 軽油価格の高騰にあえぐトラック運送業界にとって、救世主となる可能性を秘めた天然ガス、CNG車の灯を消してはならない。

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