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日本流通新聞7月15日付紙面から

社説:書面化は現実的な方法で進めよ

 トラック運送取引の書面化についてのパブリックコメント(意見募集)が10日、提出期限を迎え、全日本トラック協会と、東京都トラック協会をはじめとするいくつかの地方トラック協会が意見書を提出した。
 トラック運送事業者に書面の発出を義務付けるという省令改正に反対するなど手厳しい意見が目立ち、業界の不満が噴出した格好だ。
 全ト協の意見では、書面化を推進することについては賛同したものの、トラック事業者に運送引受書の交付を義務付けることには明確に反対し、法改正により荷主等に義務付けるべきだと主張した。
 東ト協の意見も同様に、実運送事業者に負担となる省令改正に反対し、法律改正により荷主等に交付を義務付けるべきとしている。
 神奈川県トラック協会は、荷主を含めた両罰規定を設けるなどにより「荷主と運送事業者が公平な立場で書面の取り交わしができない限り、本省令案は時期尚早だ」とし、山梨県トラック協会も「荷主側から契約書の発出ができない旨回答があった場合、運送した事業者が罰せられるのでは本末転倒だ」と運送事業者側だけへの義務付けに反発した。
 全ト協、東ト協ともに、運送事業者の書面化推進はガイドラインにより行うべきだとし、来年3月施行という国交省が描くスケジュールについても「拙速だ」と指摘した。
 業界がここまで反発するのは、規制緩和による過当競争を背景に、ただでさえ実運送事業者の立場が弱く、荷主が主導権を握る運送取引において、運送事業者にだけ書面の発出を義務付けるという手法ではあまりにもアンバランスだからだ。
 東ト協意見では、「実運送事業者が書面化を求めれば、荷主から反発を受け、同業他社に契約変更されてしまうことは明白」として荷主への義務付けを求めている。
 行政も、こうした実態を理解し、業界の主張に応える必要がある。すなわち、荷主への義務付けができないのであれば、運送事業者に対してもガイドラインに基づく運用にとどめるべきだ。
 全ト協と東ト協はまた、まず書面交付の実証実験を行うべきだとし、全ト協意見では、地方パートナーシップ会議のもとで、地方運輸局と経済産業局が中心となって実証実験を行うよう具体的に提案した。
 これに対しては国交省の加賀貨物課長も実証実験を行う意向を示している。
 実証実験をやりながら問題点を明らかにし、問題を解決したうえでガイドラインを発出する、という方法が最も現実的な姿ではないか。

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