日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞12月17日付紙面から

社説:高速道路制度 抜本見直しを

 社会資本整備審議会に設置された国土幹線道路部会での高速道路料金見直しの検討が本格化してきた。
 第2回会合では、日本経団連と日本商工会議所からヒアリングを行い、このうち商工会議所は高速道路整備と料金の大原則である償還主義の廃止を求め、料金収入で返済すべき債務の範囲を見直して料金水準を引き下げるよう求めた。
 高速道路は、借入金などで建設し、料金収入で債務を返済する仕組みで、用地費や工事費、修繕管理費、借入金利息などの投下資本すべてを料金で賄おうという考えが償還主義だ。
 借金を返し終われば無料開放するという建前になっているが、償還後も修繕費などの維持コストがかかるため、日本商工会議所ではこうした仕組みを見直し、高速道路を恒久的に有料化すべきと主張した。
 また、対距離制と全国プール制を維持し、本四高速や圏央道なども全国ネットワークに組み込み、原則として全国共通の基準に従ったシンプルな料金にすべきとした。
 そのためには、現行の「償還主義原則」を廃止し、料金収入で返済する債務の範囲から用地費相当の債務と出資金を除外し、それにより料金を引き下げるべきだと訴えた。
 さらに償還期間の延長については「望ましくない」として否定的な見解を示し、高速道路会社に対してコスト削減努力など一層の経営努力を促した。
 また、料金制度は安定的に維持すべきであり、頻繁または大幅な改編は行うべきでない、と民主党政権下での迷走ぶりを暗に批判した。
 社整審では、委員から「トラックは無料化してその代わり軽油引取税を国税として払ってもらい、違う形で負担する仕組みとしてはどうか」との提案もあったが、地場輸送では高速道路を利用しない事業者が多く、受益者負担の観点からするとトラック業界全体の理解を得るのは困難ではないか。
 経済界は、日本の高速道路料金について「国際的に見て高すぎる」との意識を持っており、国際競争力に影響を及ぼすことを懸念している。
 次期物流施策大綱の策定に向けた有識者委員会でも荷主企業代表委員から、物流コスト削減を求める意見が相次ぎ、その矛先は割高な高速道路料金や港湾コストに向けられた。
 財政が厳しく、税金の投入による料金の引き下げが困難であるのなら、償還対象費用の見直しなど制度の抜本的な見直しを行う以外に方法はない。関係者の英知をしぼって高過ぎる高速道路料金を引き下げたい。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら

 

 
takeda