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日本流通新聞2月6日付紙面から

社説:いかに労働力を確保するか

 トラック運送業界で若年ドライバーの減少傾向が止まらない。
 全日本トラック協会の賃金実態調査によれば、男性普通運転者に占める20歳代の割合は、この18年間で38%から9%へと急激に低下している。
 中型運転免許の創設により、高校新卒者がすぐに乗務できないという側面も指摘できるし、若者のクルマ離れで免許取得者そのものが減少しているという要因もあるだろう。
 様々な要因が複合的に混じり合っているのだろうが、より根源的には、トラックドライバーが若者にとって魅力ある職業になり得ていないということではないか。
 事故の危険、長時間労働など過酷な労働条件が敬遠され、若者がこの業界に入ってこないのだとすれば、由々しき事態だ。
 全ト協の別の調査では、運送事業者の現在の採用方針を尋ねたところ、76%が「中型以上免許保有者の中途採用」と答え、「新卒から育成する」との回答はわずか3%に過ぎない。
 運転者が不足した場合の対応策としては、「従業員の雇用延長」が58%を占め、「普通免許所有者でも採用し、社内で育成する」は34%にとどまった。
 業界が取り組むべき労働力確保対策としては、「若年層に対する免許の取得推進活動」が30%で最も多く、次いで「賃金や福利厚生の向上」25%、「退職者の再雇用」17%、「労働時間の短縮」16%などが続いている。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2010年に1億2806万人だったわが国の人口は、2060年には8674万人まで減少するという。50年で3割以上減る計算だ。同じ期間に、年少人口(0〜14歳)は1684万人から791万人へと53%も減少し、人生産年齢人口(15〜64歳)も8173万人から4418万人へ46%減少すると見込まれている。
 少子高齢化という大きな流れのなかで、トラック運送事業者にとっては若くて優秀な労働力をいかに確保できるかが大きな経営課題としてのしかかってくる。
 先日、全国トラックドライバーコンテストの各部門優勝者が野田首相を表敬訪問した。表敬訪問は2002年から行われ、今回で8回目だという。トラックドライバーの社会的地位向上に一役買っているようだ。
 トラック輸送はわが国の経済、国民生活を支える重要な産業だ。その重要さに見合った社会的な評価を得るためには、業界と事業者一人ひとりの地道な努力が必要だ。

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