日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞10月10日付紙面から

社説:トラック輸送の使命 再認識

 今年も10月9日の「トラックの日」を迎えた。トラック運送事業が社会と共生して健全に発展していくためには、広く国民の理解と関心を得て、その社会的地位を向上させていくことが必要との観点で1992年から制定し、今年で20年目となる。
 今年も各都道府県のトラック協会がイベントや催しなどを全国各地で展開しているほか、全日本トラック協会が広告掲載やポスター掲示、ラジオ特番、テレビCMなど多彩な広報活動を展開中だ。
 6日には京都市の国立京都国際会館で第16回全国トラック運送事業者大会も開かれ、過去最多の1600名が参加した。
 大会の分科会では、震災時の物資輸送のあり方や標準運賃の設定などを巡り討議が行われたほか、全国の運送事業者が装着するドライブレコーダーのヒヤリハット動画を全ト協に集積し、危険予知トレーニングの教材づくりに役立てるべきだ、とする建設的な意見もあり、いつもにまして事業者大会らしい会議となった。
 大会前日の5日には、京都市内の銀閣寺山国有林で第9回「トラックの森」植樹式も行われた。地球温暖化対策の一環として2003年度から行われている事業で、各都道府県トラック協会が独自に行っているものも合わせると、これで約60ヵ所となる。
 銀閣寺山国有林は、世界遺産銀閣寺の裏山となり、大文字山の前衛ともなる森だ。京都の景観保存の役割も果たす。また、津波や台風などの自然災害が続発するなか、防災や国土保全の観点からも森づくりの意義は高まりそうだ。
 東日本大震災の発生から7ヵ月。未曾有の大災害に際し、トラック輸送は被災者が必要とする物資の緊急輸送に大活躍し、社会的責任を果たすとともに、その存在感を高めた。まさに「トラックは生活(くらし)と経済のライフライン」であることを身をもって証明し、いかなるPRにも劣らない国民へのメッセージとなった。
 6日の事業者大会に来賓として出席した国土交通省の津川祥吾政務官も「被災地に大型トラックが着いたときの頼もしさは忘れない」と緊急輸送への貢献に感謝の意を伝えた。
 9日放送の全ト協提供ラジオ番組「ドライバーズ・リクエスト」でも東日本大震災とトラック輸送をテーマに番組を構成し、実際に被災地へ物資を届けたドライバーの声などが紹介された。
 物資を必要としている人へ迅速に、安全に届けるというトラック輸送の使命を改めて認識したい。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら