日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞8月29日付紙面から

社説:交付金法成立 自治体の動向焦点に

 運輸事業振興助成交付金の交付をより確実にするための運輸事業振興助成法が国会で成立した。昨年末に閣議決定された2011年度税制改正大綱に法制化の方針が盛り込まれ、年明けから民主党の中塚一宏党税制改正プロジェクトチーム副座長が立法化作業を開始、8ヵ月を経てようやく成立にこぎ着けた。
 ここまでの道は決して平坦ではなかった。当初、都道府県による交付を義務化するという内容で説明されたが、民主党の総務部門会議では慎重論が根強かった。総務委員会での審議をめざしたが、法案が多いことなどを理由に国土交通委員会で審議することも検討され、総務と国交のどちらが担当するのかがあやふやなまま、3月11日には未曾有の大災害が起きた。
 その後法制化を巡る民主党内の動きも停滞したが、震災対応の税収確保策として、燃料高騰時に暫定税率の課税を停止するトリガー条項を凍結することが4月に決まると、党企業団体対策委員会も後押しすることになって交付金法制化が再浮上した。6月には総務部門会議で都道府県の交付を努力義務とした法案骨子が了承され、政調幹部会の了承も取り付けた。
 一方、野党・自民党も7月に入って検討を本格化し、より実効性を求めて交付を義務化する「対案」をまとめ、その後与野党協議が進められた。与野党協議では公明党が「努力義務」を主張したこともあり、努力義務にとどめることで決着。
 その後旧盆前の8月11日に衆院に法案として提出され同院を通過、24日に成立を見た。25日に開かれた道路運送経営研究会主催の懇親会には、民主党トラック議員連盟の奥村会長をはじめ多数の議員が駆けつけ、「今日の日に合わせるように法案が通り感無量だ」(奥村会長)などと喜びを分かち合った。
 年明けから法制化に取り組んだ中塚氏も「暫定税率を廃止できないなら、交付金ぐらい満額出せということで取り組んだ。今日のパーティーに間に合ってよかった」と胸をなで下ろした。
 議連の事務局長として奔走した石井氏はインタビューのなかで「成立までのプロセスを考えると大きな法案だった。法律で制度が担保されたことは大きな前進だ」と意義を強調した。
 道運研会長として毎週のように上京し議員会館を駆け回った坂本氏は懇親会で「35年間できなかった交付金の法制化が成立し、念願が叶った」と喜びを隠さなかった
 法律は9月30日にも施行される。地方自治体の動向が焦点となる。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら