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日本流通新聞4月18日付紙面から

社説:トリガー条項の存廃注目

 震災復興財源として、ガソリン税などの「トリガー条項」廃止が浮上している。財務省が中心となって進めているものだが、全日本トラック協会が、復興努力を阻害する今後の燃料高騰に備え、制度の維持・継続を求めているほか、民主党内でも異論が相次ぎ、意見集約を断念。政府税調も結論を与野党協議に委ねた。
 トリガー条項は、政権交代直後の2010年度税制改正で、当時の小沢一郎幹事長が暫定税率の維持と合わせて政府に提言したもので、政権公約だった「暫定税率廃止」が叶わなかったため、せめてもの代替措置として創設された経緯がある。
 12日に衆院議員会館内で開かれた民主党税制改正PTと財務金融・総務各部門との合同会議に提案された文書によると、「価格上昇時の負担軽減のために導入したが、被災地を中心に燃料不足が大問題となるなかで発動すると、日本中でガソリン・軽油価格を引き下げることになり、逆に需給を逼迫させ、被災地の復旧・復興の妨げにならないか強く懸念する」として廃止を提案した。
 これに対し出席した議員からは「需給が逼迫して被災地が困るなどという理由は、我々国民を信頼していないということか」などと反対意見が続出。翌13日に再度開いた会議でも、「ガソリンが回らないからなどと、取って付けたような理由で廃止するとはとんでもない話」、「肝心のモノを運ぶトラックが動けなくなったらどうするのか」、「発想が全く逆。国民も事業者もガソリンを高くしないでくれと言っている」などと異論が続出した。
 廃止の主な理由を、財源不足ではなく、「燃料需給が逼迫する懸念がある」としたことも議員の反発に拍車をかけたようだ。
 民主党議員の多くがこのトリガー条項の廃止に反対するのは、同党マニフェストの大看板である「暫定税率廃止」に大きく係わるためだ。
 12日と13日の2日間にわたって開催された民主党税制改正PTと財務金融・総務部門合同会議では、「政策論」と「政治論」の両面から議論が行われた。「政策論」としては、トリガー廃止を結論としないが、「政治論」としては野党との交渉の結果、廃止せざるを得ないこともあり得るということだ。
 ただ、一部議員からはこの「政治論」のうえからも「廃止することはできない」とする発言があった。
 燃料価格の高騰は、トラック運送事業経営にボディーブローのように効いてくる。被災地に復旧・復興のための物資を円滑に届けるためにも、燃料価格の上昇は大きな懸念材料だ。議論の行く末に注目したい。

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