日本流通新聞  
スペーサー


最新ニュース

日本流通新聞3月21日付紙面から

社説:東日本大震災 まず燃料不足解決から

 東日本大震災から20日で10日目となった。全国から救援物資が被災地の避難所へと輸送されている。
 この大震災は青森県、岩手県、宮城県、福島県の沿岸部を中心に壊滅的な被害をもたらした。
 トラック業界は全日本トラック協会(全ト協)はじめ、都道府県トラック協会も災害対策本部を立ち上げ、国や各自治体からの緊急輸送の要請に基づき12日から被災地への輸送を開始した。
 だが、全国的にはトラック用燃料(軽油)の確保・購入に支障が生じた。背景にはガソリンや軽油などの輸送用燃料は、大震災で国内製油所27カ所のうち6製油所が被災し稼働を停止して、一時的に需給ひっ迫したためだ。
 先週までは「被災地や避難所へ、もっとトラックを多く走らせたくとも走らせられない」(トラック協会関係者)ほど、燃料不足が深刻だった。そうした状況下でも、全ト協が18日までに集約した都道府県別の緊急輸送車両(手配)状況によると、39都道府県で647回・943台にも上る。
 ただ、「一刻も早く被災地・被災者に物資を届けたい」と、物流網が寸断した中で懸命に力を尽くしているトラック業界・事業者など関係者にとって、燃料不足は過酷だ。
 だからこそ、全ト協などトラック業界は、救援物資の緊急輸送はじめ、国民生活を支える物資輸送が深刻な事態になるとして14日、「国内の非常事態に対処するため、あらゆる手段により、国内用輸送用燃料(軽油)の供給確保」を国土交通省、経済産業省、政府緊急災害対策本部へ緊急要請した。
 海江田万里経産相や大畠国交相には、備蓄燃料の一時的な取り崩しのほか、営業用トラックや緊急輸送車両に対して優先的に供給するよう要望した。
 海江田経産相は17日、被災地の東北地方で震災前の需要量に相当するガソリン・軽油を確保する緊急供給確保対策を発表した。また、被災地域内、関東圏でも「拠点SS」を指定し、これらのスタンドで緊急輸送車両などに優先的に給油する考えも示した。
 経産省は、今週後半頃には稼働停止中の6製油所のうち3製油所が回復するため関東圏でのガソリン・軽油の供給不足が、今週中にも解消すると見込んでいる。
 懸念された燃料不足問題も見通しが立ってきた。今後は被災地や避難所への救援物資輸送を円滑にすることだ。配送や荷さばきなどは、プロの物流事業者・物流業界関係者に任せてはどうか。

原価計算システムのご案内はこちら

原価計算システムサポートはこちら