公平な高速道路料金とは

国土交通省が発表した、高速道路の上限料金制に、与党内からも異論が相次いでいるという。
 15日に開かれた国土交通省政策会議は、6月から実施する新たな高速道路料金について、与党に対する2回目の説明を行った。
 与党議員からは「使う側の視点での見直しであり評価する」との意見もあったようだが、馬淵副国交相が16日の会見で明らかにした、延べ14名の議員からの発言は、大半が異論や懸念を示すものだった。
 「地方で通勤割引を使って生活している人が割引制度がどうなるのか不安がっている」、「物流業界からは、とくに近郊輸送が値上げとなることに反発を受けている」、「通勤割引は民営化時のコスト削減で始めた割引であり、利便増進事業とは別。再度見直してほしい」、「トラック協会から反発を受けている」などと値上げとなる利用者の懸念や反発を伝える意見が主なものだ。
 また、「割引財源が2・3兆円から1・2兆円に減らされることに国民の理解が得にくい」、「建設するのはよいが、外環と名古屋2環に予算を充てるのはやり過ぎではないか」と割引原資から建設に回す額が大きすぎるとの意見も見られた。
 「フェリーを含めた総合交通体系をどのように考えるのか」、「他の公共交通機関への影響についてもっと説明すべきだ」とフェリーや鉄道などへの影響を懸念する意見も少なくない。
 最も象徴的な意見は「無料化を掲げながら値上げすることをどう説明するのか」というものだ。一般紙やテレビを含めたメディア全般の論調も「無料化のはずなのに、値上げとはどういうことか」というものが主流だ。
 さらに、国会で法案審議の行司役でもある衆院国土交通委員長を務める民主党の川内博史氏に至っては、割引財源を建設費に回せるようにする財特法改正案に反対を表明し、「法案を通さない」と発言したというから驚きだ。
 本紙のシミュレーションによると、短距離のトラック通行料金は、来年4月以降2倍を超える値上げになるケースも出てくる。深夜割引や大口・多頻度割引が無くなるためだ。一方で、長距離利用では大幅に割り引かれるケースが出てくる。得をする人と損をする人の差がこれほど大きな料金制度を「公平性が高い」(馬淵副国交相)と言えるのか。
 「フェリーや鉄道を含めた総合的な交通体系をどのように考えるのか」という意見が出てくるのは当然だ。

(日本流通新聞2010年4月19日付)