注目される民主党の判断

来年度税制改正を巡る政府税制調査会での審議は2次査定を迎え、多くの項目が決着しはじめた。企業の試験研究費(R&D)特別控除、ナフサに対する石油石炭税免税および還付など、経済産業省関連の租税特別措置の延長が認められ、中小企業関連でも中小企業投資促進税制、中小起業者の少額減価償却資産の損金算入特例などがいずれも認められた。
 とくに中小企業投資促進税制は、中小企業が取得する機械装置などのほか、トラックや内航貨物船を購入した場合に、特別償却か税額控除を選べる制度で、減税規模は国交省所管事業だけで約186億円と見込まれている。
 このうち、最大の恩恵を受けるのはトラック運送業で、減税見込みは約110億円だ。
 財務省は当初、この投資促進税制のうち、トラックの取得についてはD評価「認められない」と査定していたが、景気低迷下での厳しい経営環境や政府としても今まさに経済対策を取りまとめようとしている時に、これを廃止することによる経済へのマイナスの影響を考慮した結果、全てを要求通り認めることにした。
 「新車を買う余裕など無い」という運送事業者の声も聞こえてきそうだが、一方で中古車が売れているために程度のよい中古車が数少く、相場も上がっているという実態も指摘されており、投資促進税制の延長は新車購入時のインセンティブとして一定の効果が期待されよう。
 また、政府が検討している第2次補正予算には、エコカー補助の継続も盛り込まれる見通しとなっており、両者が相まって新車への代替促進が期待できる。
 一方、トラック協会がその行方を固唾をのんで見守っている運輸事業振興助成交付金の継続は、3日の2次査定でもなおD評価のままだ。「暫定税率の行く末もちょっとまだわからないので」(渡辺副総務相)、国土交通、総務両省は引き続き協議する方針だ。
 また、馬淵副国交相は11月30日の税調で「極めて政治的色合いが濃い交付金」と指摘し、「高いレベルでの折衝をさせてほしい」と述べており、政治決着となる見通しを示唆している。
 民主党では県連経由で集めた業界や自治体の陳情を幹事長室に一本化し、政府に伝える方針だ。各県トラック協会も民主党県連に交付金継続と環境税反対を要望しており、民主党がトラック協会の要望をどのように受け止めるかが今後の行方を左右しそうだ。

(日本流通新聞2009年12月7日付)