正念場迎えた交付金制度

政府税制調査会が5日と6日の2日間、各省庁からの来年度税制改正要望ヒアリングを行った。5日は、経済産業、文部科学、国土交通、環境の4省副大臣が要望内容を説明し、質疑を受けた。
 このなかで馬淵副国交相は、地方航空路線維持のための航空機に関する特例、住宅取得資金の贈与税非課税枠拡大などを中心に説明した。各省副大臣らから、住宅税制や航空機減税などの質問があったあと、最後に内藤副総務相が運輸事業振興助成交付金について質問した。
 内藤氏は「運輸事業振興助成交付金についてお尋ねしたいのだが」と切り出し、さらに「いろいろ指摘の多い制度だと思うが、この制度は暫定税率の導入に伴って創設された制度だと思うが、暫定税率を廃止してもなお継続するという要望なのか」と馬淵副国交相に確認を求めた。
 これに対し、馬淵氏は「指摘のあることを重々踏まえながらも今回掲げさせて頂いた」と暫定税率と交付金制度の微妙な関係を踏まえたうえで、「暫定税率を廃止した場合には、再度これは十分検討すべき課題だと思っている。今後、税調の全体調整のなかで私の課題になると思っている」と答弁した。
 これは、暫定税率が廃止された場合には、交付金制度を継続させるかどうかを改めて検討するという趣旨と見られる。暫定税率創設時に導入された制度であり、暫定税率という土台を失えば、同制度も大きく揺らぐことになる。
 ただ、その暫定税率自体の行方は怪しげだ。5日の税調ヒアリングで田島副環境相は、「暫定税率を廃止していきなり温暖化対策税に持って行くと、看板の付け替えとの批判を招く」として、4月から暫定税率を廃止した場合、その後数ヶ月程度経ってから温暖化対策税を導入することを提案した。
 財源不足に頭を抱える財務、総務両省も温暖化対策税に関心を寄せており、峰崎副財務相は、暫定税率廃止と新税導入の時期について「同時か、タイミングをずらすのか、英知を出す」と述べている。
 そもそも交付金制度は、軽油の税率に営自格差を設けるべきとの発想で、徴税技術上、異なる税率設定が困難だったために、営自格差の代わりに創設された経緯がある。諸外国では、燃料の税率に営自格差が設けられている国も少なくない。爾来、経営基盤が脆弱なトラック事業の適正化事業、安全対策、環境対策などに活用されてきた。よしんば、暫定税率が廃止されたとしても、もはやその必要性は揺るぎないものになっているのではないか。

(日本流通新聞2009年11月9日付)