業界の要望が実現

 政府は27日、臨時閣議を開いて2009年度補正予算を決定し、国会に提出する。4月10日に政府・与党がまとめた新たな景気対策「経済危機対策」を実行に移すための予算で、このうちトラック運送事業関係では、新車の購入・買換促進補助が新設されるほか、低公害車入補助金の上積み、中小トラック事業者構造改善支援事業の拡充などが図られることになった。
 このうち中小トラック事業者構造改善支援事業は、08年度第1次補正予算で国費35億円、同第2次補正予算で150億円が確保された補助金で、すでに35億円については事業が行われ、現在補助金の交付認定作業が行われている。
 零細トラック事業者が省エネ運行や低燃費トラックの導入などにより、燃料消費量を減らした場合に、燃料費を含む経費の2分の1を最大100万円補助する制度で、昨年、燃料高騰対策として創設された制度だ。
 ところが、国内軽油価格は昨夏をピークに下落を続け、秋には金融危機から世界同時不況が拡がり、「軽油価格は下がったが、今度は肝心の荷がない」状況に至った。トラック運送業界はさらに厳しい経営を強いられているのが実情だ。
 昨年度の第2次補正予算で認められた150億円の分については、補助対象事業者の車両数規模要件を20台以下から30台以下に緩和したが、「50台、60台も厳しい」といった声が強く、全ト協も車両規模要件の撤廃と中小企業全般への拡大を要望していた。
 今回、09年度補正予算を機に補助対象要件である「30台以下」が撤廃され、中小企業全般に対象が拡大されたことで、業界の要望がすべて受け入れられたかたちだ。自民党トラック議連の後押し、国交省の努力も評価されよう。
 予算額150億円は、国土交通省が財務省と折衝した結果、09年度への繰り越し執行が認められるとともに、補助要件も大幅に緩和され、より多くの事業者に最大100万円の補助が行えるようになった。全ト協負担分と合わせた予算総額は167・5億円で、1社100万円として1万6750社に補助できる計算となる。
 一方で、補助対象事業者を拡大し、燃料費割合要件も緩和することで、補助申請が殺到するのではないかとの懸念もあるようだ。トラック協会では早くも補助金交付の事務処理の膨大さを心配する声も聞かれるが、国交省では「足りなくなるぐらい手を挙げてもらえる方がよい」(本田自動車交通局長)としており、募集方法などを工夫する考えだ。

(日本流通新聞2009年4月27日付)