「物流から見た中国・韓国の政策」④

J&Kロジスティクス社長 原 瑞穂氏

日韓合弁28社 釜山新港に拠点整備 効率化戦略が奏功

  目立った産業の少ない韓国では経済成長を促進する政策理念として、「物流富国」を掲げて物流機能を強化している。
 意図するところは、日本の物流課題を解決する目的で、中国などアジアから韓国への貨物量を増やして産業の集積を図ろうというものだ。日本の物流は、例えば、中国の大連や上海からの商品をいったん東京に持ち込んでバラしてから地方に配送しなければならない。これが日本の物流効率化の課題の一つだと思う。解決策としての韓国の物流戦略は、中国などアジアから釜山に貨物を集めて日本の一番近い港に送るという考えだ。
 中国から大阪や東京に入っていた貨物が、釜山に入り、仕分けされて日本に向かう。そうなれば釜山に産業が集積し、韓国の物流も動く。
 この政策に基づいて釜山新港FTZが開発された。2009年現在、日韓合弁会社が二十八社誕生し、このエリアに約50億ドルが投資され、福岡運輸、三井物産、勝村第一など、いま1万坪を超える倉庫が10棟ほど稼働している。この政策はほぼ成功を収めたと言ってよいだろう。
 今後、釜山新港経由の物流モデルが益々、増える見通しだ。いま仁川国際空港には世界中から貨物が入ってきて貨物取扱量は世界第2位だ。旅行者でも秋田から仁川空港まで行って、その日のうちに世界へ飛ぶこともできる。成田に一泊してから飛ぶよりも、遥かに便利だし、一部の運賃も安い。貨物も同様だ。中国から仁川空港に持ち込めば、いきなり札幌に入れられる。 
 中国の10大港からは外航フェリーが運航されている。中国東北部の貨物を仁川港のフリー・トレード・ゾーン(経済自由区域)に荷揚げしてから仁川空港に持ち込み、そのまま世界に飛ばすケースも非常に増えている。去年10月に開通した仁川大橋を使えば、仁川港から仁川国際空港まで約20分で行ける。飛行機便があれば、1、2時間後には飛び立つことができる。

原社長


 私は、皆さんに中国で物流事業をおやりなさいとお勧めしているわけではない。韓国経由の日本行き物流は相当あるから、これを処理できるような企業との提携とか関係を結んでおく必要があると思っている。貨物がやってくる根はどこかといえば、圧倒的に海外からで、最終的には小口貨物が増え続けている。だから、海外からどうすれば、自分の倉庫に入れて、物流加工ができるかという物流モデルを作り、提案する必要がある。結果として配送は宅配企業を利用すればよい。このような3PLで成功している事業者は多い。ご自分で輸送をするのではなく、少し海外に目を向けて、機能の面で中韓などの物流事業者とリンクできるかどうか検討をなさるとよいと思う。
 中国の物流はフィッシュボーン政策が基本にある。物流企業は質・量ともに非常に良くなっている。韓国は「物流富国」を目指している。中国情報に目配りしていれば、何か事業ヒントを得られるかもしれない。 (おわり)