トラック運送「協議申し込まない」53%

中企庁調査で浮き彫り

中小企業庁が昨秋行った、9月の価格交渉促進月間フォローアップ調査の結果によると、「価格転嫁の達成状況」、「価格交渉の進捗状況」ともにトラック運送業が全16業種中、最も低い水準であることが分かった。価格交渉では52・9%が「協議を申し込まなかった」と回答し、「協議に応じてもらえた」との回答が39・9%と最も低い。燃料価格が高止まる中で、転嫁対策が急務である。価格転嫁の達成状況は、直近1年間のコスト上昇分のうち、価格に転嫁できた割合を採点したもの。10割を10点、9~7割を8点、6~4割を5点、3~1割を2点とした。トラックは全16業種のうち最も低い6・28。高いのは上位から金属7・56、放送コンテンツ7・48、化学7・46など。下位はトラックのほか、印刷6・40、自動車・自動車部品6・46など。価格転嫁できた割合は全体で78・0%、トラックは59・1%だった。価格交渉の進捗状況は、直近1年間の発注側企業との価格交渉の協議に関して、同様に10点満点で採点。こちらもトラックが最も低い6・23。上位は電気・情報通信機器7・87、食品製造7・79、建設7・78など。下位はトラックのほか、印刷6・88、放送コンテンツ7・00などとなっている。トラックは価格交渉で「協議に応じてもらえた」割合が最も低い一方、「協議を申し込まなかった割合」は航空宇宙(53・8)に次いで高い。荷主、元請けとの関係、商取引慣行の違いもあるが、他業種と比べ転嫁が進まない実態が浮き彫りとなった。トラック関係のヒアリングからは「市況に合わせた柔軟なコスト負担の対応が難しい」、「安値合戦状態に近く、コスト転嫁の話はできていない」といった声や、「二次、三次が請け負う領域に大手が相場より値下げして参入し、その価格に合わせざるを得ない」、「上位の元請け、下請業者から下ろされる代金は、二次・三次請負がコスト増加分を転嫁できる金額となっていない」など聞かれる。