DXとCNで新たな成長

DX(デジタルトランスフォーメーション)とCN(カーボンニュートラル)が時代の潮流となり、各省庁の来年度概算要求でも大きな柱となっている。国土交通省自動車局の概算要求をみると、各種手続きのデジタル化に、脱炭素化では次世代自動車の普及促進策で厚みを増す。
トラックの電動化は走行距離や充電による稼働時間、バッテリー搭載による積載量など制約が普及のハードルとなっている。これを踏まえながら、物流情報を事業者間でシェアする「フィジカルインターネット」で輸送経路を切り分け、電動車両の導入可能性を検討する調査を予算に盛り込んだ。物流の究極的なオープンプラットフォームがCN実現とどう結びつくか注目されるところだ。
トラック運送業の働き方改革ではDXを通じた調査を新たに行う。DXはドライバーの働き方改善に直接効果があるとし、ICTの導入で長時間労働の改善が見込める業務を選定、調査・検証する。サプライチェーンの様ざまな業務の中でもより有効な事例を広く周知させたい。
自動配送ロボットでは中型の技術要件についても検討調査を行う。低速・小型の自動配送は実証実験や制度整備の検討が進められているが、EC市場の拡大を背景に大容量を輸送可能な中型についても需要があるとみる。自動配送も軽自動車クラスで基盤整備が進めば新たな事業環境と価値を生み出す。
一方、公共交通・物流政策審議官部門では物流の生産性向上の推進で前年度比1・73倍の予算を要求した。総合効率化計画に基づく支援事業では、計画策定で新たに中小企業が協議会の主体となれば補助率、上限額を引き上げる。さらにモーダルシフト等支援では、共同配送や貨客混載等の過疎地域で実施する案件に運行経費の補助を追加した。
今年度から省人化・自動化機器導入案件で補助率、上限額を引き上げており、実績でもこれら物流DXによる上乗せ支援の案件が含まれる。さらなる対象範囲の広がりで普及促進が期待される。
やはりEC事業の拡大で倉庫需要が増加していることから「倉庫内遊休スペースの効率的利用の推進」を新たに盛り込んだ。実証・調査を踏まえガイドラインを作成し周知を図るという。
倉庫業界では何より倉庫税制減免の特例延長が求められるが、コロナ禍でも中小事業者が市場変化、需要拡大に前向きになれるよう、国の一段の後押しが必要だ。