適正運賃の再配分を

2017年のトラック春闘がスタートした。「官製春闘」と揶揄され、3年連続して賃上げを実現しているものの、「底上げ・底支え」「格差是正」には至っていない。

トラック関係の産別は、今春闘も中小企業労働者や非正規労働者の月例賃金・時給の「底上げ・底支え」と「格差是正」に重点をおいた取り組みを進める方針だ。

交通労連・トラック部会は18日、運輸労連は25日、賃上げ要求額を昨年と同額の「1万1000円中心」、率も昨年と同率の「4・5%」と決定した。

トラック運輸産業の現場実態について、運輸労連の難波淳介委員長は「労働時間の長さによって賃金が決定される『長時間労働・低賃金』の産業となり、トラックドライバーという職種が絶滅危惧種となりかねない状況にある。まさに『止まってしまうかもしれない物流』へと変質しようとしている」と危機感をあらわにしている。

「長時間労働・低賃金」の背景として難波委員長は、1990年の規制緩和以降、新規参入者の増加による過当競争に加え、経済不況によって荷主企業が利益確保の手法として「運賃引き下げ・物流合理化」を進めた結果、「実勢運賃」の下落が続いたことをあげた。

現状のドライバー不足は深刻だ。しかし、ドライバー不足のなかでも「ネット通販・eコマース」関連貨物の輸送需要は活発である。この人手不足時代にもかかわらず「送料無料」とは何事か。何事もなかったようにオペレーションするのに、物流事業者がどれだけ汗をかいていることか。

今春闘で、労働側は経営側との交渉で「適正な運賃・料金を収受し、賃金・労働条件改善のために再配分するようしっかり求めていく」考えだ。と同時に、生産性向上のエンジンである人材に対する投資の重要性も訴えていく。

物流業界の新年会でも労働力不足への対応として、「長時間労働」「低賃金」「生産性向上」がキーワードして語られる。

春闘交渉は経済闘争であるが、労使が直接対話できる貴重な機会でもある。労働条件改善の主張に加え、安全や健康の確保・コンプライアンス・CSR経営・働き方改革などに関する対話もしてほしい。

大手各社は、政府の要請もあって、近く下請等中小企業との取引適正化に向けた自主行動計画を策定するという。

大手トラック労組には、自社だけにとどまらず元請け責任もしっかり果たしてもらいたい。