運賃・料金問題の進展に期待

国土交通省が、取引環境・労働時間改善中央協議会のワーキンググループとして、「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」を設置し、初会合を開いた。

藤井聡京大大学院教授、野尻流通経済大学長ら有識者で構成し、荷主、トラック業界代表は独禁法との関係でオブザーバー参加する。

トラック協議会のメインテーマは取引環境、労働時間だが、いずれもお金のかかる話であり、運賃問題は切り離せないテーマだ。国交省が今年2月の中央協議会で「適正運賃収受」を主要議題に据えたところ、全ト協の坂本副会長が「検討の場を設けるべき」とワーキングの設置を求めていた。

適正運賃・料金検討会初会合であいさつした国交省の加藤貨物課長は「ドライバー不足が深刻化するなか、ドライバーの安定的な収入を確保して仕事の魅力を高めていかないと、トラック輸送サービスの供給が十分行えなくなってしまう。そうなると、トラック業界だけでなく、我が国の経済産業活動にも多大な支障を与えかねない」と危機感を示し、理解を求めた。

トラック業界にとって、永遠のテーマともいえる適正運賃収受を巡っては、これまでもさまざまな場で議論が行われてきた。

最近では、トラック産業の将来ビジョン検討会に設置された「最低車両台数・適正運賃収受ワーキンググループ」で議論されたが、2012年10月にまとめられた報告書では、トラック事業法に基づく標準運賃について、法定要件を満たさないため発動は困難と結論づけられた。また、標準運賃そのものについても、「過去の認可運賃も遵守されなかったのに、拘束力のない標準運賃に実効性があるのか」「実勢運賃に与えるネガティブな影響をどう考えるのか」「運賃体系や設定の考え方、原価が多様化している実態を踏まえると、標準的な運賃・原価を示すことは困難ではないか」といった論点が示されていた。

新たな運賃・料金検討会では、目安となる運賃を国が示すことについては、業界内でも意見の隔たりがあるため、アンケート調査で幅広く意見を聞くことになった。

一方で、待機料金、附帯作業費、高速料金などを、運賃とは別の料金として荷主等に負担してもらえる仕組みが必要、との点では一致しているため、これら諸料金の適正収受策を検討していくことになった。

経済・社会の基礎的なインフラであるトラック輸送を維持するためにも、関係者の知恵で運賃問題を進展させてほしい。