荷主への周知策に継続性を

トラックドライバーの改善基準告示見直しに向けた実態調査が今秋に予定され、調査項目など議論が進められている。労働時間に関しては荷主に起因するところが大きく、調査の対象も含め、荷主にも改善基準告示の周知が徹底されなければならない。
年960時間の上限規制適用は2024年4月まで猶予されるが、国会附帯決議では過労死防止の観点から、改善基準告示の総拘束時間改善の検討を速やかに開始することとしている。
昨年12月に「自動車運転者労働時間等専門委員会」が立ち上がり、モード別に実態調査検討会を設置。トラックは17日の会合で具体的な項目を議論し、全日本トラック協会がアンケート・ヒアリングの結果を示した上で、調査対象に荷主企業を加えることや、遵守できない要因を把握できるような調査を求めた。
長時間労働の要因には大きくは、ドライバーの労務管理の問題と荷主が指定する配送条件がある。全ト協のアンケートからも、現状の改善基準告示が遵守されない理由として、荷待ち時間の発生や積み込み荷卸しの長時間、納品時間指定などが上位にあげられる。荷主、運送事業者が一体となり、これらの対策と作業効率化に取り組むことがドライバーの労働条件改善の前提となる。
こうした現状に対し、荷主側が改善基準告示についてどれだけ認知しているのか。発・着荷主、業種別、また荷主企業の中でも経営者から管理者、現場担当者と各段階でどこまで理解しているかを把握する必要がある。
検討会委員の意見からも見直しにあたっては、発・着荷主への働き掛けけが必要であるとの認識は共通しており、荷主にも分かりやすくシンプルなものが求められる。
実際に荷主企業を調査対象にするかは今後の検討とされるが、トラックドライバーの働き方改革による荷主への周知施策では「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」の取り組みや、改正事業法の荷主対策深度化、ホワイト物流推進運動など進められ、これらとの関連性も踏まえ今後の議論が想定される。
とりわけ昨年はこれら荷主対策について国の施策が一気に前進したが、こうした周知活動の継続性が求められる。今般の改善基準告示の見直しについても、徹底して荷主との関連性を追求する必要がある。
取引適正化はまだ道半ばであり、これをさらに加速する意味からも、荷主側の改善基準告示に対する理解・協力が不可欠だ。