支援のスピードアップを

消費税増税、暖冬による物量減少に新型コロナウイルスが追い打ちをかけ陸運各社の3月期決算は総じて厳しい内容だ。コロナの影響は物流品目により状況も変わるが、収益の維持・拡大へ一段の生産性向上が必要だ。
上場する陸運各社ではヤマトホールディングスなど発表を延期する企業も見られ、発表企業も今年度予想は現段階で見送るところも多い。
各方面から発表される景気指標からはリーマンショック後の影響に近づき、1930年代の世界大恐慌以来の最大の景気後退とも予想される。
2012度年以来の減収減益となった日本通運は「創立以来の難局」と認識し、取扱数量に応じた適正車両、人員配置、社有戦力の最大活用でコスト圧縮などの施策を「後手に回ることなく講じる」。経営計画の各施策を着実に進め、長期ビジョンは変更しないとしている。
日立物流は3PLは増収増益も、フォワーディング、オートが低調。自動車関連の生産・販売動向やロックダウンする各国輸送規制・制限の推計は難しい。そうした中で、人財、車両、施設のグループ、パートナー、同業他社を含めたシェアリングや、国内外拠点の統廃合も含めた拠点配置を施策の重点にあげる。
SGホールディングスは全体ではコロナの大きな影響はなく3月期は増収増益を確保。不透明感はあるものの足元の状況を踏まえ今期増収増益の見通しを立てた。EC通販が伸びるが、BtоCはコロナの影響を受け販売単価は弱含み。宅配以外の輸送モードのTMSが牽引となり、外注費増も見込むが生産性向上でコストコントロールし収益拡大を持続する。現行の中期計画の最終年度数値も上方修正した。
感染症対策は持久戦となる。物流事業者は社会インフラの責務を果たし、サプライチェーンを維持するためにも現場の安全・安心が第一である。さらには対策を通じて取り組んできた各施策から業務改善、生産性向上につながるヒントも見出したいところだ。
テレワークをはじめ多様で柔軟な働き方の変革が進む。IT系、ベンチャーの台頭も背景に、人を介さない自動搬送システムの応用・用途開発、また宅配需要の急増と飲食店救済の観点から配送マッチングシステムを活用した様々な工夫も見られる。
ピークオフ後の経済再生に向けた準備もしっかりと描きたい。何より現場が少しでも明るさを見出せるよう、政府のさらなる支援と施策のスピードアップが必要だ。