持続可能な物流へ

改正物効法の認定件数が2月末で206件となった。今年度は件数全体が伸びているほか「モーダルシフト」「輸配送の共同化」「輸送網の集約」の3類型以外の事例もみられるのが特徴だ。物流業界の人手不足が深刻度を増す中で、これら優良事例を広く周知させたい。
物効法の認定により事業者は事業の立ち上げ・実施の促進や、必要な施設・設備等への支援措置が得られる。
類型別では輸送網の集約が最も多く半数を超える。特定流通業務施設の設置により、非効率で分散した輸送網を効率化・集約化する。物効法で定める倉庫税制の特例措置の2年延長が認められ、倉庫業界ではさらなる活用を促している。
特定流通施設の設置ではトラック受付予約システムの導入や、車両管理機能の集約、トラック営業所の併設などの事例もみられ、手待ち時間削減に貢献する。また、こうした輸送網の集約は災害対応力強化の側面からも有効である。
次いで多いモーダルシフトは、長距離トラック輸送を鉄道・船舶を活用した大量輸送に転換するもので、多くが長距離輸送だが、中・短距離の事例もみられる。
鉄道モーダルシフトのうち、佐川急便、ヤマト運輸など貨客混載がこれまで7件認定されている。
ほか貨客混載では一般路線バスによる共同輸配送1件と、昨年11月には伊予鉄バスがグループ会社とともに、高速バスの空きスペースを活用した地域産品輸送が認定された。このケースは地域活性化にも繋がるもので、認定事例の広がりは経済活動でも様々な効果を生み出す。
先月閣議決定された、改正地域公共交通活性化再生法には貨客混載に係る手続きの円滑化も盛り込まれており、今後も活用促進が期待される。
共同輸配送については、今年度はモーダルシフトとの重複が多いほか、新聞と食塩の共同輸送など新たな品目が注目される。
共同物流等の促進に向けた研究会の提言(昨年6月)には、物効法で今後積極的に支援する取り組みに、これまでの3類型から発着荷主の連携による物流効率化、庫内作業の効率化、輸送リソースの共同利用などを掲げ、この中でもいくつか認定例がみられてきた。
3類型は認定対象のモデルケースに示したもので、これに限らず事業者の創意工夫による幅広い取り組みに注視したい。
省力化・効率化へ事業者の意識は高まる。とりわけ労働力不足は喫緊の課題だ。持続可能な物流に向けては、この危機感を荷主とも共有していくことが不可欠だ。