多様な受け取りの周知を

宅配便の再配達削減へ、「置き配」や「宅配ボックス」などの普及が注目される。利用者が玄関先など指定場所に非対面で受ける「置き配」は認知度が低く、国は3月に検討会を設置、15日の第2回会合では宅配事業者とEC事業者の連携や、消費者への周知活動など課題があげられた。
内閣府の世論調査によると、消費者の再配達の要請頻度は「3割程度以上の荷持で再配達をお願いした」と回答した割合が過半数を超える。再配達のためにトラックが走行することで、年42万㌧のCO2が排出され、9万人相当の労働力がロスしていると試算する。
国土交通省は宅配便の再配達率を2017年度の16%から20年度13%へ削減を目標とするが、昨年10月時点では15・2%、前年同月比0・3ポイントの減少にとどまっている。
置き配検討会の第2回会合では日本通信販売協会(JADMA)が会員向けに行ったアンケート調査結果の報告があり、この再配達率の状況について通販事業者が「把握している」のは22・4%にとどまり、理由は「配送会社が提示しない」が最も多かった。
昨年、「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」において、データ連携の推進や再配達実態の詳細分析、多様な受取方法の推進に取り組む方向を示した。多様な受取方法の推進に向け、置き配検討会の場を設けたが、今回のJADMAの調査からも、置き配の普及には再配達現場の状況など、両者の共通認識と連携の必要性が求められる。
都市部を中心に設置件数が増加している宅配ボックスについては厚生労働者が今年3月にガイドラインを作成した。再配達を巡る状況、宅配ボックスの位置づけや設置効果を示しており、商業施設や公共スペースなどさらなる設置を促す。
一方の置き配は国交省が行った消費者へのネット調査では認知度は46%と一定程度あったものの、利用しても良いと考えている人の割合は37%にとどまり、盗難や不在が分かってしまうことを懸念点にあげる。
置き配検討会では6月までに論点を整理して事例集として取りまとめるが、宅配、EC事業者間連携の在り方や消費者の利便性を見据えた周知活動が焦点となる。
置き配は宅配ボックスと比較して導入コストはかからないがセキュリティ面で課題がある。両者の中間にあたる簡易宅配ボックスや、置き配バックなど選択肢も広がっており、消費者にこれらメリットを分かりやすく発信する必要がある。