値上げ交渉の環境整う

日通総合研究所の企業物流短期動向調査によると、10―12月見通しは消費関連や生産関連の貨物など荷動き改善に伴い、トラック運賃の上昇基調が強まりそうだ。

7―9月実績(速報値)の国内向け出荷量「荷動き指数」は、前期(4―6月)実績から3ポイント上昇してプラス2と、14四半期ぶりに水面下から浮上した。10―12月見通しではさらに3ポイント上昇してプラス5を予想している。

「荷動き指数」は、2014年4月に実施された消費税増税を境に水面下に沈み、以降マイナス圏での推移が続いたが、緩やかながら改善が続いた。16年7―9月実績以降の平均はマイナス4で、浮上に向けて足踏みが続いていた。

7―9月実績の業種別「荷動き指数」(全15業種)は、8業種がプラスで、残り7業種がマイナスと改善の動きが鈍かった。食料品・飲料、パルプ・紙、消費財の3業種はプラス予想からマイナスに転じた。

ただ、10―12月見通しでは、11業種で改善の動きがみられ、プラスの業種は11業種に拡大する予想だ。食料品・飲料、木材・家具、精密機械の3業種は前期(7―9月)実績のマイナスからプラスに上昇する。

7―9月期実績の「運賃・料金の動向指数」は、各輸送機関ともほぼ横ばいで推移した。夏場の天候不順で食料品・飲料など消費財が振るわなかったことから、一般トラックは予想のプラス20から12(前期プラス12)、特別積合せトラックがプラス20から13(同10)と大幅に下振れした。

一方、10―12月期の見通しは、一般トラックが9ポイント増のプラス21、特別積合せトラックが10ポイント増のプラス23を予想し、運賃・料金の上昇時期がずれ込んだ形になる。

背景には「荷主企業にも、トラック運送企業のドライバー確保、長時間労働の是正、安全対策などのコストアップ要因がようやく認識されてきたこと、11月には運賃と料金を分けて収受できる改正運送約款が施行されること」が影響しているようだ。

いずれにしても、外部環境はトラック運賃の上昇が強まる傾向にあるといえる。10―12月の「荷動き指数」見通しは改善傾向だ。これに伴い運賃も値上げ交渉が進めやすい環境が整って来ている。

不足するドライバーを確保するためには、給与や労働時間などの労働条件見直しなど「働き方改革」は不可避だ。まず、その原資を確保するためにも、適正運賃収受、適正料金収受に取り組みたい。