エッセンシャル事業の誇りを

物流各社の入社式は昨年に続き感染症対策を徹底、ウェブも併用するなどして経営トップのメッセージを伝えた。新入社員はコロナ禍の不安を抱えるが、日々の生活、経済を支えるエッセンシャル事業者の一員となることに誇りを持って仕事に邁進してほしい。
現在、どの業種もDX(デジタルトランスフォーメーション)という大きな潮流にある。そしてSDGS(持続可能な開発目標)が企業経営において重要度を増す。その中でトラック運送業は働き方改革を進め、まさしく大きな節目である。物流業界に足を踏み入れる若い人達にとって、こうした変化を自身の経験値を重ねる好機ととらえ果敢な挑戦を望みたい。
トップの訓示からも若い世代の視点、感性に目を向け、次代の成長戦略をともに描こうとの思いが込められている。
来年1月に持株会社制に移行する日本通運。齊藤充社長は節目をともに成長の機会にしていこうとの気持を込めた。非常時こそ社会に果たすべき役割は高まると激励する。
西濃運輸の小寺康久社長は得意の特積以外の貨物輸送シェアが小さいことを「まだまだ成長できる領域が存在している」と〝伸びしろ〟に例え、挑戦する場は広いと訴える。
SBSグループの鎌田正彦代表はM&Aなどによる規模拡大も〝ベンチャー企業〟であることに言及する。とくに成長分野のEC市場に対して「皆さんと一緒になって取り組みたい」。失敗を恐れず邁進する姿勢に期待を込める。
今年度から新たな中期経営計画が始動したトナミ運輸グループ。綿貫勝介社長は「方針、方向性をよく理解し、責任感を持って思い切り社業に取り組んでほしい」と望む。
物流業界の課題である標準化、働き方改革の動きに対してもDX、AI・IоTの技術革新とどう向き合うかが問われるところ。若い人達の感度も嘱望されるが、まず現場でしっかり経験を積むことからだ。
「現場で理解を深める中で自身のコア領域ができる」(日立物流中谷康夫社長)、「経験を積んで得る価値観はその人の生きる糧」(近鉄エクスプレス鳥居伸年社長)、「当社の原点は現場にあり、品格ある社員が品格ある会社をつくる」(鴻池忠彦鴻池運輸社長)と説く。
節目を乗り越え物流業界の新たな価値を創出する役割を担ってほしい。「前向きに物事を取り組めば結果が大きく変わっていく」(原島藤壽カンダホールディングス社長)。
そのためにもまずは基本である健康にしっかり気を配ってほしい。