「トラックの日」に考える

きょう10月9日は、「トラックの日」である。

全日本トラック協会は、多くの人にトラック運送事業を知ってもらうため、10月9日を「トラックの日」と制定し、今年で25年目となる。

各都道府県のトラック協会がイベントや催しなどを全国各地で展開するほか、全日本トラック協会が広告掲載やポスター掲示など多彩な広報活動を展開中だ。

全国統一の標語は「トラックは生活(くらし)と経済のライフライン」だ。

とくに最近の東日本大震災や熊本地震など、大規模な災害発生時には、救援物資を続々と届けるトラックの姿や、ドライバー不足による「物流クライシス(危機)」がメディアにも取り上げられ、その重要性が多くの国民に理解、認識されつつある。

毎年、「トラックの日」にあわせて、全国トラック運送事業者大会が各ブロックの持ち回りで開かれている。今年は東北ブロックの担当となり、3日、仙台市の仙台国際センターで開かれた。東日本大震災から6年半が経過し、被災地は現在「復興・創生期間」へと、新たなステージを迎えている。

大会前日の2日には、宮城県岩沼市の「潮除須賀松(しおよけすがまつ)の森」で、第15回目となるトラックの森植樹式も行われた。宮城県トラック協会の須藤弘三会長は「かつては白砂青松が続く風光明媚なところだったが、震災で無残な姿になった。宮城の海辺をトラックの森で復活させたい」と語った。

「トラックの森」は、国有林などにフィールドを設定して植樹を行い、森林育成を通じて地球温暖化を防止することが目的。2003年に三重県いなべ市に第1号を設定し、その後は毎年の事業者大会に合わせて開催地で植樹を行ってきた。また、各都道府県トラック協会が独自に行った所、行う予定を合わせると、計約169カ所となる。

第22回大会は、全国からトラック運送事業者ら1450人が仙台市に集結し、長時間労働の是正や事故防止対策など業界が抱える課題の解決に向け意見交換をした。

全ト協の坂本克己会長は「荷主の理解を得て長時間労働を改善し、ドライバーの賃金を増やしたい」と労働条件の改善に意欲を示した。

長時間労働やドライバーの賃金など労働条件の改善はコストアップを伴うが、コンプライアンスの観点から運賃・料金の適正化は避けられまい。「トラックの日」にあたり、トラック輸送の役割、使命を改めて考えてみたい。